当×征小説

□19歳 盛夏U
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大学1年の夏休み。
征士が大阪に来て、1週間たった。


ここのところ、征士は俺の大学の友人とも仲良くなったので、三人で食事をしたり出掛けたりするようになっていた。


……って、征士といちゃいちゃする時間が減るじゃあないかっっ!
苦節4年…、やっと恋人らしくなってきたって言うのに!

く…くそうι
なんでこいつは、当たり前みたいにウチでくつろいでるんだι

俺は、隣で寝転がって雑誌を捲っている奴を睨み付けた。


「……田村。お前もうちょっと、前みたいに気ぃ利かせろよ


征士が席を外した隙に、釘をさす。


「え〜、だって伊達が居てもいいって言うし。あいつ美人だからオレも目の保養だし」


「征士は俺のだっ


「見てるだけだからいいだろー。減るもんじゃなし」


「減るっっ!」


断言した俺に、呆れたように田村がため息をついた。


「無茶苦茶言うよなー、お前ι―――わかったわかった。今日は帰るよ」


「あれ?今日はもう帰るのか?」


ちょうど戻って来た征士が、立ち上がって荷物を持った田村に訊いた。

引き留めるなよ!征士っ!


「ああ、今日はちょっと用事があるから。じゃあな、伊達」


「そうか、またな」


“また”なんて、なくてもいいっ!


「………どうした、当麻。妙なカオをして」


田村を見送った征士が振り返って言った。

妙な……ってι


「どうせ俺はタレ目ですよ


「何拗ねてるんだ」


そう言って、俺の顔を除き込んできた征士を引き寄せ、抱き締めた。


「当麻?」


征士は、大人しく抱かれている。


「征士、俺のこと…好き?」


「なんだι急に」


「好き?」


「……………好きだ」


抱き締める腕に、力を込める。
征士の柔らかい金の髪に頬を寄せた。


「俺……お前のこと好き過ぎて、どうしたらいいのか判らない」


初めて会った時から、手に入れたくて。
手に入ったら、手放したくなくて。


―――俺のものだ。
誰にも渡さない。
誰にも…触れさせたくない―――


「俺、アブナイくらい、独占欲強いかも……」


いっそのこと、誰の目にも触れないように、征士を閉じ込めておきたい……とか思ったりする。


「……馬鹿者。私だって同じだ」


征士が小さく呟いた。


「……え?」


腕を弛めて征士を見ると、真っ赤な顔をして目を逸らす。


「征士?」


征士が、顔を隠すようにしがみついて来た。


「……に、二度は言わないからな!よく聞いておけ」


「…え?あ、はいっι」


つい、かしこまってしまったι


「………私は、お前だけのものだ。今までも、これからも」


――――!


「…………あいしてる」


最後は聞き取れるかどうかの、小さな声だったけれど。

照れているからか、征士が更に強くしがみついてくる。
顔は隠れているけれど、耳が真っ赤になっているのは見えた。

俺はというと、予期しない征士からの言葉に暫く思考停止―――


「―――何とか言えι馬鹿当麻」


はっ!ι


「ご…ごめんιびっくりして……けど、嬉しい。泣けるくらい、嬉しい―――」


本当に、涙が出そうだった。
征士を抱き締めたまま耳元に囁く。


「俺も、全部お前のものだから。……永遠に」


約束する。
ずっとずっと、征士だけを愛してる。

征士を抱き締める腕に、想いを込める。
俺の背に回った征士の腕にも、力がこもった。


「俺も、愛してる……」


誓う様に、口付けを交わした―――


‐END‐

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