当×征小説

□笑顔とチョコレート
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また、当麻のヤツが五月蝿い季節がやってきた。

所謂“恋人”という関係になってから、毎年2月になると決まって「バレンタインのチョコレートが欲しい」と言ってくる。


バレンタインなど、はっきり言って私は興味がないし、男の私が婦女子の群がるチョコレート売り場に行ける訳がなかろう!
大体、ナスティから毎年貰っているではないか!

と言ってやったら、
「征士のが欲しい…ι」
と言う。

伸は毎年遼から貰っているらしい、とも。


ええい!遼と一緒にするな!ι

伸は大方当麻をからかうネタに使ったのだろうが、私もいい迷惑だ。



ため息をついて、少し離れた目の前の光景を見つめた。
色とりどりの包装紙やリボンのかけられたチョコレートの山。


今年のバレンタインデーは土曜だから、大阪に行く予定だった。
買って行ってやれば、彼奴は喜ぶのだろうが……。

けれど、30半ばの男がバレンタインのチョコレートを買う姿はやはり異様な光景に見える気がして、これ以上其処には近付けなかった。

今思えば、バレンタインチョコのコーナーを凝視して佇む私も十分異様だっただろうがι



「―――ほら」


我ながら素っ気なく、そしてまた素っ気ないモノを差し出した私に、当麻はタレ目を見開いて暫く固まっていた。


「せ…征士!?これって……」


「有り難く受け取れよ。……其れを買うのも、十分恥ずかしかったのだからな」


其れは、何時でも買える類いのアーモンドチョコレート。
勿論、ラッピングも何もない味気のないものだ。

そっと受け取ってしみじみ眺めて――それから当麻は、私を見て嬉しそうに笑って抱き締めてきた。


「すっっげえ嬉しい!ありがとうな、征士」


自分の顔が赤くなっているのが分かる。
私は…当麻のこの顔に弱い。
けれど、この嬉しそうな顔を見られたのならば買って来て良かった、と思える私も意外に当麻には甘いのだろうか?


     ◇    


「まさかホントに買って来てくれると思ってなかったからさ。じゃあ俺が、とか思って買ってたんだよなー。……貰って?征士」


そう言って当麻が差し出したのは、綺麗な緑色の包装紙に包まれた箱。薄い黄色のリボンまであしらわれている。


「なんかさ、最近は男からあげる逆チョコってのがあるらしいから、俺からでもいいかなーって」


「……私も男だがι」


「そりゃそうなんだけど、まあ、征士は俺の“奥さん”ってことで


「馬鹿者ι」


しかし、不覚にも妙に嬉しい気持ちになってしまった私も、菓子業界の煽りに乗せられている口なのか。

けれど、こういうのも悪くない。


「……ありがとう、当麻」


当麻はもう一度、私の好きなあの笑顔を見せた。



‐END‐



《あとがき》


あああ
単に自己満足なありがちな話になってしまいましたが

実は自分的には書き足りてないです、省いた部分沢山あります

……省いてこれかよ
普通に書くと、また長〜〜〜くなるので(笑)

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