過去拍手御礼部屋
□命
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―――戦う事の意味
生命(いのち)を守るということ
この世界の 空や大地 そして海………
あらゆる場所に生きているものたち
この手で守れるものは限られているけれど それでも守りたいと思う
けれど
いのちを守るため戦って この手が奪うものもまた いのちなのだ
妖邪とはいえ いのちはあるのではないのか
彼らも意思を持ち
そこに存在している
正義という名のもと その いのちを奪う
それは 果たして本当に正しい道なのだろうか―――?
*********
「―――伸?」
「!―――ああ。征士」
窓辺の椅子に座って外を眺めていた伸は、ふいに声をかけられ弾かれた様に顔を上げた。
「………どうしたのだ。ぼんやりして」
「ん?別に、なんでもないよ」
何時もの笑顔で答えたつもりだったが、征士は難しげな顔で眉を寄せた。
「………伸」
「な…何?」
じっ、と菫色の瞳に見つめられ、伸は思わず怯む。
光輪の瞳は、真実を見抜く瞳だ。
疚しい気持ちのある時に、この瞳を正面から受け止める事が出来る者は、まずいないだろうと思う。
伸は別に疚しい事がある訳ではないが―――
「嘘はいかんぞ。何か悩みでもあるのなら、私で良ければ話を聞くが……」
「―――征士」
驚いた様に目を丸くして自分を見る伸に、次は征士が気まずそうに少し目を伏せた。
「いや、まあ……。私ではあまり役にはたたんかもしれんが…、聞く位なら……」
伸は、今度は心から微笑する。
「ありがとう、征士。……ほんと、君に嘘はつけないね」
すっ…と伸の右手が伸びて、征士の頬に触れた。
征士の菫色の瞳を覗き込む。
「君のこの瞳には―――僕は今、どんな風に映っているのかな………?」
「………伸」
「ああ、ごめん。いいよ、言わないで」
指先で、そっと征士の唇を押さえる。
そうして再び微笑んだ。
「………僕は、大丈夫だから」
「伸…」
「本当だよ。………優しいね、君は」
「私は―――優しい訳ではない。………優しいというのは、伸のような者をいうのだ」
「僕?」
「そうだ。私たちは皆、優しい伸が好きだぞ」
率直な言葉に、伸は照れた様に微笑んだ。
「………ありがと、征士」
優しい仲間たち。
皆がいれば、僕は戦える。
皆といれば、迷いも何時かきっと晴れる。
仲間を信じて、前に進もう。
「僕も、皆が大好きだよ―――」
-END-
《あとがき》
伸×征くさい内容ですね(^^)
ウチの伸兄さんは、当麻に対しては意地悪ですが、遼や征士は可愛がるので、征士は伸に対しては“優しい”という印象が一番強いと思います(笑)
因みに、ウチの遼は伸の意地悪を知ってても、伸を好きなんです(^^)
仕方ないよなぁ…伸は(^^;
みたいな感じで(笑)