Short2
□Make you smile!!
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さっき、おれは、酷い怪我して料理が出来なくなったって言ったよね…って、ナミさんもそこまでは知ってるよね。そん時おれは、ベッドに無理矢理埋められて、情けなくて、いやな気分だったんだ。料理は大好きだし、みんなに食ってもらって美味ェって言われるのが生き甲斐なわけで。
うん。
それが奪われちまったら、おれはどうしたらいいのかって、悩んだよ。数日ってわかってても、仕事が出来なくなるってことは、居場所が無くなっちまうってことだし。それに、みんなに治るまでずっとずっと迷惑かけちまうことになる。今のナミさんも、それで悩んでるんだろ?…うん。そうなら、いいんだ。もし、おれの話がナミさんの心の問題と外れてたら、ナミさんをそれだけ長く苦しめちまうから。
そんとき手を差し延べてくれたのが、あいつ。バカで食いしん坊で空気読めないクソゴムな癖に、こういう時だけは、ほんっとうにすげぇと思う。
『サンジはすんげぇなぁ』
暗い顔してベッドに伏してるおれに、あいつ、まさかの満面の笑み。
『あんなにいーっぱいのメシや飲み物一人で作れちまうんだ。ナミやロビンやウソップ三人くらいでも足りないくらいのメシ』
『しかもさー、ぜぇんぶ美味くて、優しいあったかい味がすんだぞ』
『しかもおもしれぇ話しながら、それをぜぇんぶ作っちまうんだ』
今、料理できねぇおれにそれをいうか、って話だよな、ごもっとも。そう言い返そうとしたらさ、ルフィが拗ねた口調で続けたんだ。
『でも、そんなサンジの料理食えねぇのも飲めねぇのも嫌だけどさー、それより』
『お前この怪我してから、起きてる時暗い顔ばっかで全然しゃべらなくなっちまったし』
『ウソップのウソにも呆れねぇし、ゾロの喧嘩言葉にも何にも言わねぇし、メロリンしねぇし』
『笑わねぇし、悲しそうだし』
『おれはそっちの方がつまらねぇっ!!』
いつの間にか笑顔と拗ねた顔はどっかいって、真剣な顔になっててよ。痛ェってのに、おれの両肩掴んで。
『だから、ナミに頼んだんだ!』
『お前が、ちゃんと笑顔になるまで』
『おれは船を動かさねぇ!』
『誰かが暗くなるとみぃんなが暗くなるっ!!』
ね、言った通り。
『だから、早く元気だせっ!!』
『うちのコックは、お前しかいねぇんだからなっ!!』
まったく本当に、呆れた奴だ。
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