Short3

□New person and old companion.
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島の様子がどうだったか、半ばわかるだろ?あいつの時々出る予言というか勘はよくあたるからなぁ。


どうなってたか焦らすな?わかったわかった。


レストラン街には、全部シャッターがかかってて、閉鎖されてたんだよ。
しかも、だいぶ前からな。


『なんだこれ…』


思わず声が出たな。活気もなんもねぇ、料理の匂いすらしねぇし。痩せたガキ共がおれにわーっと集まってきて、食い物をねだってくる。若いの見当たらなくてそういう子供を止めるのは年寄りっぽいが、そんな気力も残ってねぇみてぇで。


……本当に、地獄みてぇなとこだった。


『あんまり食料がなくてな』


そん中おれに話し掛けてきた奴が居てよ。なかなか我慢強ェじいさんだと思ったな。頬が痩せてんのに口調がはっきりしてて、まだしっかり地に立って歩いている感じがして。


『じいさん、この島になにむぐっ』


口を急に塞がれて、ぐいっと家ん中に引きずり込まれた。文句を言おうと思えば、なんかでっかい足音がして、痩せたガキ共が跳ね飛ばされ始めたんだ。


『待て、落ち着けっ』


じいさんに必死で押さえられながら見たのは、真っ黒いマントと仮面で身を包んだ巨大な男だった。


『…どこにいった』


一言呟いて、そいつは他の奴をまた蹴飛ばして、歩いてった。わけが分からずに首を傾げてたら、じいさんが、一言。


『あれが、ボスじゃ』


『ボス?』


『この島を取り仕切ってる、ボス』


じいさんはそう前置きして、話しはじめた。長いからだいたいまとめるとこんな感じな。


この島は、どうやらそのボス一派に支配されてるらしい。んで、この島や他の島や訪れた海賊のコック、いや、料理ができる奴や食材に詳しい奴全員を捕まえて城に閉じ込めてるらしい。城に閉じ込められた奴らが、どうしてるかわからねぇって。…あのなぁ、話の先を読むようなこと言うな。緊張感台なしだろ。そういうのは思ってても黙っとくもんだぜ、レディを傷つけないようにするのと同じでな。


とりあえずボスの部屋ってのが村の近くと奴のアジトに一つずつあって、詳しい資料があるが見つかったら終わり云々言われた。でも、それって行けってことだろ、おれにとって。


話が終わった後、おれは、レストラン街の奴らが味の交換会する風習があるってことを知ってたから。持ってきた重箱を全部じいさん達にやったんだ。幸か不幸か、街にはガキ共とじいさんしかいなかったから、少しは腹の足しになると思って。じいさんは何度も何度もおれに礼を言って、これでボスに狙われるって言ってきたけど、むしろ好都合、いいってって返して、おれはボスの部屋に向かったんだ。


…ん?ミルクおかわりか?仕方ねぇな…あー、いいっていいって、ついでやるよ。サービスな、サービス。


…ははっ、おれのホットミルクは世界一?あたり前だ。ついだら続き話してやるよ。



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