Short
□Small 19's boys
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「あーあー」
「あーあーじゃねぇよ!!」
船長の暢気な言葉に、狙撃手が素早くツッコんだ。二人の視線の先には、頬をぷーっと膨らませて、ぶかぶかの服に包まっている子供の姿があった。
姿からして料理人と剣士に違いないのだが、明らかに背は縮み、眼はどこかきらきらと輝き、筋肉が落ちて、頬はぷにぷにと柔らかだった。彼等の前には、『スモール・ビスケット』と書かれた袋が豪快に開けて置いてあり、煎餅ほどの大きさのビスケットが転がっていた。
「お前がよく読まずに買ってゾロとサンジに食わせたからこうなったんじゃねぇか!!」
「だってよー、帰って来たらサンジが美味そうな紅茶入れててさー、おやつと一緒に飲んだら美味いと思って…」
「そん時はよく読めって言ってんだ!」
「おっしゃん」
「誰がおっさんだァ……あ」
ぐすぐす、と二人は目に涙を浮かべている。狙撃手は、はっ、と思い当たった。いくらいつもは化け物三人集と讃えられる程強かろうが、今若返った二人は約3歳だ。
「こわい、おっしゃん」
「こわい」
狙撃手からだらだらと冷や汗が流れる。まだ言葉もうまく回らない子供の二人はぐすぐすと泣き始めた。
「ウソップ泣かせたー」
「泣かせたー」
「泣かせたわね」
「泣かせたわ」
「泣かせましたね」
「泣かせたなァ」
「オイ」
いつの間にか一味全員姿を現していた。涙を流す小さくなった二人と泣かせた狙撃手を見て溜息をついた後、ごんっと勢いよく船長を殴った。
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