Short2

□Sailing Day of the East Blue.
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――偉大なる航路のバルト島。
新世界にも赤い土の大陸にも近いこの島には、赤い土の大陸の高さを越え、空島にぐーんとそびえ立つ程、巨大な巨大な灯台があるという。雲の関係から新世界を見渡すことはできないが、位置の関係から東の海の島々を、見渡す事が出来るのだという――



「…でも……なんでエレベーターとかないのよぉぉ…」


「同感だァァ…」


「ナミさんっ、おぶってあげようか?」


「いいわ…」


「そんなぁ、遠慮しなくたって」


「アホ」


「あぁ!?」


「ししし、早く登ろーぜ!」


「お前は元気だなぁ、ルフィ…」


文句を言いつつ、喧嘩をしつつ、殴りつつ、笑いつつ、高い高い灯台の階段をゆっくりと登っていくのは、東の海で集まった五人組。料理人のポケットの中には丸めた先程の記事が載った新聞が突っ込まれている。


この記事を読んだのはサニー号にて。甲板でくつろいでいる最中に航海士が読み上げた記事に反応した彼等はすぐに行きたがった。故郷の海が小さくても見えるということで、好奇心が疼いたのだろう。
そんなわけで東の海のメンバーが灯台にいくことに決定したのだが。


『おれだってルフィ達がどんなとこで暮らしてたのかみたいぞ!』


船医が行きたいと不満を零した。東の海のメンバーは顔を見合わせて、構わない、と言いかけたが、


『たまには最初の仲間だけでゆっくりさせてあげたら?』


考古学者がこう大人の提案する。しかし、ぷうと頬を膨れさせた者がいる。


『なんだよ、今も昔も関係ねぇぞ。みぃんな仲間だっ!!』


船長の言葉に考古学者はくすくすと笑って提案を取下げた。しかし、料理人がおやつに特製スイートチョコケーキを残していくつもりだと笑いながら言い、彼の意図を読み音楽家が作曲の手伝いでも、と頼み、最後には船大工がスーパーな風船を作ると提案すれば、船医はそわそわした顔をし、素直にお留守番すると言った。灯台に登る中で、何故船医をいかせたくなかったのか、と狙撃手が料理人に問えば。


『あんなクソレストラン見せたってなんの面白みもねぇって』


頬を少しだけ赤らめ、頭をかきながら呟いていたのを聞いて、彼らはニィっと笑って納得した。きっと、照れ臭かったのだ、と。



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