Short2
□Make you smile!!
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ある日のある島についた夜。おれはナミさんとアクアリウムバーに居た。二人っきりで。ナミさんと晩酌出来るなんて、天地がひっくり返ってまた戻っちまったくらい嬉しい。そりゃあもう、嬉しい。
でもな、今日のナミさんは、全体的に、様子がおかしかったんだ。
「ナ、ナミさん、そのくらいにしたら?」
「なぁに、サンジ君、文句あるのぉ?」
酒で顔を赤くしたナミさんもかぁわいいなぁぁぁぁ!!!
……い、いや、まて、そうじゃねぇんだ。お、落ち着け、おれ。あ、あのなぁ、ナミさんは、確かに酒が強ェ。だから、強めのオレンジカシスをちびちびやりながら今日のことを話して、眠くなったナミさんを女部屋にでゅふふ……じゃなくて。いやいや就寝ってのを想像してたんだ。うん。
でも、それはいつものナミさんの場合。
今日のナミさんは、瓶5本あけて酔っ払うくらい、辛いことがあったみてぇだ。
「ねぇ、ナミさん、一体何があったんだい?」
今日、何回目の質問だろうか。まぁ、心当たりをついたけど、はぐらかされてばっか。とにかく、こっそり強めのオレンジカシスを遠ざけながら、おれはもう一度尋ねることにした。
「なによぅ、言ってなかったぁ?」
「う、うん」
聞いてたら、心配と愛の言葉をたくさんかけて、君を困らせてる奴をとっくにオロしに行ってるよ、ナミさん。
ナミさんはオレンジカシスを一口含んだ。突然表情が悲しそうになったから、おれは、びっくりしちまったんだ。
「あのね、サンジくん」
「う、うん」
「あんた、料理が出来なくなったことあったわよね…前に」
「そ、そりゃ、ね」
誰よりも酷い大怪我をした時。みんなに無理に寝かされて、ウソップやナミさんやロビンちゃんが大丈夫っていいながら、料理してくれたんだ。それどころか、寝込んだおれを気遣って、船を止めてくれたことすら。でも。
「ど、どうかしたのかい」
「ううん…」
ナミさんの瞳が潤んでいる。いつもみたくキュートな嘘泣きなんかじゃなくて。本気で。やべぇ、え、おれ、レディに、まさか、え、あ、あぁぁぁぁぁ!?
「ナ、ナ、ナミさんっ!!お、おれ、何か悪いこと言ったなら、あ、謝るからさ、な、泣かないで…」
こんな時におどおどしちまうのは仕方ねぇんだ。ナミさんはとっても心が強い。だから、いくら酒を飲み過ぎたからって、本気で泣くなんて。そんなのは、あんまりみねぇ光景だったんだ。
「サンジ君、どうしたらいい…?」
ナミさんは、震える声と悲しげな瞳で、おれを見つめた。
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