Short2
□優し過ぎし者の疲弊
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朝日が窓からゆっくりと入り、メリー号に朝が来た。くーくーと鴎の鳴き声が静かな甲板に響く。その中料理人がキッチンに立ち、焼きたてパンとスープとベーコンエッグ、サラダ等の朝食を作ってテーブルに並べている。
しかし、並べてあるのは一人分の食事のみ。いただきます、と小さく呟きいそいそと朝食を済ませ、ごちそうさまと呟いた。
現在朝9時。
いつもはとっくに朝食をすませ、彼は洗い物に従事している時間のはずである。
また、メリー号の甲板には遊んでいる船長達もくつろいでいる航海士達も、昼寝をしている剣士ですら見当たらない。
いつもとは異なった風景。
その中で彼は自分が済ませた分の洗い物を終え、タオルで手をしっかりふき、ゆっくりと男部屋へと移動した。そうしながら、料理人は悲しげに呟く。
「…一人で朝食は…つまらねぇな…」
小さな入口を開けて、梯子を慎重に下りていく。男部屋の床にはハンモックの代わりに布団がぎっしりと敷かれ、船長、剣士、狙撃手、船医がぐったりと横たわり、緊急用通路は開けられていて、女部屋では航海士と考古学者もまたぐったりとなり睡眠をとっていた。
どの船員も顔を熱で赤くし、荒い息を不規則に吐き出していた。
「…………」
料理人は端に押しやられている男部屋のソファーに座った。煙草をくわえ火を付けながら、何故このような事態になってしまったのかを思い出していた。
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