Short
□They misunderstand each other.
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ある日ルフィがゾロの元へ行きこんなことを尋ねた。
「なぁ、ゾロ。何か食いたいもんあるか皆に聞いてこいってサンジに言われたんだ、なんかあるか?」
ゾロはしばらく考えてから、
「茶碗蒸しっていう料理がある」
懐かしげに呟いた言葉をニッと笑って聞き、ルフィはサンジに話しに行った。サンジはいつものように「仕方ねぇな」と呟き承諾した。
その一週間後、その料理は作られた。
皆がうまいうまいという言葉がダイニングに聞こえゾロも普通に食べていた。食事が終わり、洗い物も終わりサンジはようやく寛いでいる皆をちらりと見た。
「うまかったか?」
ルフィが尋ねると、ゾロはサンジが見ているのに気付いてか、
「こいつのより前の奴が作った方がうまいに決まってるだろ」
「何だと!?」
「お前のはいつもと同じだよ。文句でもあんのか?」
剣士としてはいつものように言い放った喧嘩を売る言葉だったはずだった。「何だとコラァ!」といつものように返すはずだと。しかし料理人の顔が一瞬で悲しげに曇った。ダイニングでの食事中に料理人と剣士がぎゃーぎゃーとやり合うだけのただの喧嘩が始まると思った一味の何人かはぴたりと固まり、何人かは表情を荒げた。
料理人は剣士の言葉にやけに小さく呟いて返した。
「…そうかよ」
「お、おい、サンジ?」
狙撃手の制止も聞かず料理人は逃げるようにキッチンを出て行った。
バタン!と閉められた扉の音がやけに大きく響いた。
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