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□月夜と砂漠の約束
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「次は砂漠の島らしいわ」


「えー」


航海士が憂鬱混じりに呟いた言葉に船医ががっくりと肩を落とした。この間船医が大好きな冬島を出たばかりで喜んでいた矢先の出来事だった。


「冬島から砂漠の島かぁ、俺様が大活躍したドラムとアラバスタを思い出すなぁ」


「オイ」


狙撃手が自慢げに胸を張ったので剣士が思わずつっこんだ。くすりと考古学者は微笑みを浮かべて、船医を見た。


「チョッパーは冬島で仲間に入ったと聞いたわ。どんな風に入ったの?」


「えと、大怪我したサンジとケスチアにかかったナミを凍傷になりかかってるルフィが連れて来て…いろいろあって」


しんみりとした表情をしながら呟く船医を考古学者が優しく微笑みを浮かべながら撫でた。そこで狙撃手が疑問付を浮かべる。


「そういやさ、ずっと不思議に思ってたんだけどよ、何でサンジ大怪我したんだ?」


「言われてみれば…あんまり気にしたことなかったわね。確か背骨にひび入ったんだったかしら」


「どうせドジったんだろ、アホコックは」


「だーれがドジったって?」


ガンっ、と踵落しが珍しく剣士の頭に落ちた。料理人が煙草をふかしながら足をゆっくりおろす。剣士が震えながら振り向いて料理人を睨んだ。


「痛ェじゃねぇか…このクソコック!」


「自業自得だ、クソマリモ」


「あぁ!?やんのかこらァ!!」


「上等だぁ!!」


ゴンっ!!
お決まりのような拳の音が響いた。痛ェ、と呻く剣士を無視し、航海士は頭にたんこぶをつけながら目をハートにしている料理人に尋ねる。


「で、サンジ君、何でなの?」


航海士が言葉を発した瞬間、料理人は目が元に戻り急に挙動不審になって辺りを見渡し始めた。そしてある人物がいないことに気がついてホッとため息をついた。料理人は急に小声になって、


「ごめん。いくらナミさんやロビンちゃんのような美しいレディでもこれだけは教えられねぇんだ」


「何で?」


「一回さ、このことを話題にしたら、ルフィの機嫌が一気に悪くなって暴飲暴食を開始することがあったんだよ」


料理人の小声を耳にした船大工と狙撃手は絶句して、


「…おめぇマジで何したんだ」


「逆に気になるぞ、サンジ」


「ね、ナミさん。こればっかりは勘弁して」


「仕方ないわねぇ…。今度ルフィがいない時に聞かせてね」


「俺が何だって?」


「うわぁっ!!」


突然航海士の背後に現れた船長に料理人達は驚愕した。


「なんでそんなに驚くんだ!失敬だぞ!お前ら!」


「お、お前こそいきなりなんだ!びっくりしたじゃねぇか!!」


「ブルックがさ、島が見えたぞぉ!!ってずぅっと言ってるぞ!!」


船長がそう言った瞬間一味は即座に話を切り上げて若干挙動不審になりながら、


「お、おう、砂漠の島らしいな」


「さ、さぁ、上陸準備よー」


「ブ、ブルックー!!島はどっちの方向だぁ?」


あっという間に船員達は散り散りになり残ったのは船長と料理人だけだった。船長がじっと料理人をみつめ、料理人は顔から冷や汗を吹き出していた。


「サンジ」


「な、な、なんだ?」


「腹減ったー!!」


船長の一言に料理人はずっこけた。なんとか持ち直して、


「お、お前のことだから島冒険すんだろ。着いてから弁当作るから待ってやがれ」


「えー、海賊弁当にしろよー」


「へいへい」


「ルフィさぁーん!!島大きく見えて来ましたよー!」


「なにぃ!!今行くっ!!」


船長は音楽家の声を聞くが早いかすぐに見張り台に登って行った。


「ふぅ、馬鹿で助かったぜ…」


料理人はほっと安堵のため息をついてマストをしまう狙撃手を手伝いに向かった。



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