Short
□Coward's kind heart.
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「はぁ…はぁ…」
「ぜぇ…ぜぇ…」
ぎらぎらとした陽射しが降り注ぐ無人島にて三人の人間が漂着していた。息を切らしながら、木を潜り蔦を渡り先へ先へと進む。息を切らす一人はトレードマークの麦わら帽子を外した船長ルフィ、もう一人はトレードマークのバンダナを外した狙撃手ウソップである。
端から見ても彼等は疲弊していた。狙撃手が少し休もう、と船長に声をかければ彼は頷き太い木に腰掛けた。
「早く…あいつら来ねぇかな」
「あぁ、早く来てくれねぇと」
二人の不安げな視線は船長の背中に蔦で括り付けられ、麦わら帽子をかぶった金髪の青年に注がれる。彼は麦わら一味の料理人サンジ。
彼はこの島に来てからずっと目を覚ましていなかった。小さな荒い息を辛そうに吐き出し、傷だらけで意識を失ったまま船長に背負われて運ばれていたのだった。
ぽた、と船長の腕に彼の紅の液体が落ちて流れる。船長はやはり不安に満ちたまま、帽子ごと料理人の頭を撫でた。辛いが頑張れ、と彼に訴えかけるように。
「サンジぃ…」
優しい狙撃手もまたぐったりとした料理人を不安そうに見つめていた。彼の頭の中にあるのは料理人への不安な気持ちだった。
彼の頭に料理人が怪我をした時の状況が流れて来ていた。
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