short5

□Tell me our favorite food.
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ざぁざぁと、辺りしきりに降りしきる雨。それはひたすらに甲板を叩き続け、時に強い風と共に激しくマストをしならせた。窓の外はひたすらその風景。少し進んでも、戻っても、まったく変わることはなかった。こんな豪雨の地域に襲ってくる酔狂な海賊もおらず、経った同じような時間は一週間。ひたすら降り続けている。あと、一週間。あと、もう少し。島についたら晴れるからひたすら我慢。航海士はそう毎日のように辛抱強く言い続けていた。


「うー」


「我慢しろってナミさんが毎回いってんだろ。我慢しろ」


窓からかじりついて離れない船長に料理人は呆れた。山のように作られたてるてる坊主。顔も形もいびつなそれは吊るされては落ち、落ちては吊るされている。船長にとって、外で遊べない、冒険できないことはつまらないことだ。しかも今まで一週間も続いたことはなかった。雨の中、ずぶ濡れで遊ぶことにチャレンジしてみた回数は幾度。だが、その度に海に落ちかけて航海士にしかられていた。


「サンジはなんでそーおちついてられるんだ!つまんねぇだろ!」


「バーカ。おれはいくらだってやることがある。美味しい食事の開発に、掃除に。あともう少しなんだろ。食材を工夫して使わねぇと」


「むー」


船長はそうか、というように膨れっ面をした。料理人は、フライパンの焦げを落としながら、ちらと船長をみやって、また戻す。


「他のやつらには、遊んでもらわねぇのか?」


「みぃんな、いそがしーんだ」


船長はそういいながら指を折っていく。狙撃手は船大工と大砲の管理をしているし、船医は考古学者と火薬の調べものをしている。剣士は寝ているし、航海士は、読書中だ。音楽家は、音楽作りに没頭している。ずらずらと並べられた名前に料理人はため息をついた。


「おれだって、いそがしいんだがなぁ……」


料理人は困ったようにいったが、船長ももて余す暇をどうしていいのかわからない顔をしていた。相変わらず窓の外を見て、そわそわと背中を揺らしている。料理人は、ため息をついた。


「なら、ルフィ。こうするか」


「ん?」


船長は顔をあげた。料理人は、にいっと笑う。


「おれのサプライズに、協力してくれ」


「サプライズ?」


サプライズ、という言葉に船長は素早く反応する。料理人はフライパンを置いて、船長のもとに歩いてきた。


「雨なんだから、みんなもお前も憂鬱な気持ちになるだろ」


「うん」


「サプライズ一発すれば、気分転換になるんじゃねぇか?」


「おおおおお」


船長は、顔を輝かせた。料理人は、そうと決まれば、と手を叩く。


「うまい具合に、今日の船番はおれとお前だ。お前が協力してくれりゃ、うまくいくんだ」


「やるっ!!」


船長は強くうなずいた。よし、と納得したように言う。


「じゃあ、準備するものは」


料理人はヒソヒソと船長になにかを吹き込んだ。船長はわかった、と強く首を縦にふる。


彼らのサプライズ計画は、夜から決行になった。


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