Short3

□Adventure of the spring island.
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まったりとした午後、ダフトの毒がだいぶ治ってきたナミだけどまだチョッパーに診てもらってる。ナミもよく無茶するからってさ、保健室に呼んで即診察。サンジとブルックが聴診器とか聞いてそわそわしてたけど、サンジは飲み物を頼まれて、ブルックは一撃蹴られれば黙った。
今は注射して様子見時間みてぇだ。チョッパーは図書室で調べ物してるから、おれ達が見張りってわけで。


「あー、もう、やってられないわ」


ナミはむすっとしたままベッドに入る。無理はよくないよ、なんてホットミルクを渡しながら笑うサンジにはバットで言葉をそのまま返してやりてぇ気分になるんだ。だってこいつ、ナミが心配で殆ど寝てなかったんだから。


「ねぇ、ウソップ。なんか面白い本当の話して」


「え、あー、そうだな」


まったく、ナミは。ウソの冒険だっておもしれぇんだぞ。
そう返してやりながら辺りをきょろきょろ見遣る。そしたら、ナミがすぱっと言った。


「ねぇ、ウソップ」


「なんだよう、今考え中…」


「何もなさそうなら、メルヴィユで起きたこと、話してくれない?」


「なァ!?」


一番にびっくりしたサンジ。おれのたらこ唇、って誰がたらこだっ!を塞いで、肩をぐいっと引き寄せて。


「おいおい待て待て長っパナ。ナミさんにそんな話していいのか?」


「なんだよう、ナミとロビンの名前叫びながら探してたのが恥ずかしいのか?」


「いや、全然。愛の叫びだから問題ねぇ」


「じゃ、なんでだよ」


「おれが一週間助けに行けなかったふがいなさを知られるなんてっ!恥ずかしいじゃねぇかァァ!!」


「いやそこかよっ!!」


「大丈夫よっ」


ベッドからひょいっと冷たい手が飛び出して、おれとサンジの耳をぐいっと引っ張った。


「いいじゃない、聞かせてっ!気になるわっ」


「い、いや、そんなに面白い話じゃないよう、ナミさんっ!!」


「バカ言わないのっ!ウソップがウソ以外でおもしろくない話するわけないでしょう?」


「なにげにひでぇっ」


「いーじゃない!」


え、あっ、う、あ、そ、そりゃそうだけどさ、いや、そうじゃねぇって、ナミ。だってこれは、おれの話でもあるけど、サンジの話でもあるから、サンジにうるうるした目でぎろっと睨まれちゃ困っちまうよ。


ナミは、サンジがおれを睨んでるのに気づいたみてぇだ。じっとナミがサンジを見れば、サンジの目がハートになる。


「あんたのことふがいないなんて思ったりしないから、サンジ君。話聞かせて」


ナミに励まされた上さらに頼まれちゃさすがのサンジもご機嫌。目ハートにして、おれに促してきたんだ。これでおれは話していいんだ、ってわかったから。


「じゃ、じゃあ話す、な」


期待の眼差しと上機嫌な眼差しを向けられる中、おれは話し始めた。



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