Short3
□Birthday present in nature.
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森の中に入れば、やはり妙だと思った。それぞれの木に『ゾロ君こちら→』『ロロノア様御一行↓』『剣士とトナカイ←』『マリモさん↑』と明らかにウソップの字で書かれて貼ってある。いくら無人島とはいえ、厄介なことを招きそうだから、チョッパーに一枚ずつ回収させていった。その作業ですらこいつは嬉しそうにした。
「えへへへ、ちょうどウソップに頼まれてたんだっ」
「へぇ」
さすがウソップ、ぬかりはねぇんだな。それにしても、
「おい、チョッパー。いつまで手繋いどく気だ」
「手放したらゾロが迷子になるってブルックに言われてるんだっ」
…あの骨は、また余計なことを言いやがって。
それにしても、銀杏や紅葉が綺麗な島だ。風で舞い散る葉が太陽に輝いている。紅や黄を白い月に照らして、月見酒。…悪くねぇな。夜にはコックに酒を出させるか。
「おい、ゾロっ!!遅ェぞっ!
「遅ェぞっ」
ルフィとウソップが膨れっ面でおれに絡んでくる。こいつら、もう飲んでんのか。心なしか顔が赤ェ。
「どこでやってんだ」
「焦らないで」
ロビンから空のグラスが手渡される。フランキーがおれの身体を持ち上げて、背中に背負われた。そこでナミにばっと目隠しされる。なんだ、と暴れれば、ナミに殴られた。
「いいから、大人しくしてなさいよ。面白いもの見れるんだから」
なるほど、と小さく呻く。ウソップが前言ってた『さぷらいず』というやつか。それなら、邪魔するのは気が引けるな。
「わかった」
「よぉし、フランキー発進!」
「変態!」
「えっ?」
「はっ、発進っ!」
「んー、スーパーァァ!!」
チョッパーがいつの間にか頭の上に乗っているのを感じていたが、つっこまないでおいた。
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