Short3

□Clean & Nice Day
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誕生会をしてもらったのは、本当にかなり前の話。クローバー博士達が開いてくれた、小さな小さな誕生会が何度か、よ。


不器用ながら作られたぐちゃぐちゃケーキと、あまり音が出ないように工夫がされたクラッカー。ウソップが前に教えてくれた輪飾りなんてなかった。


いつもは整ってるのに、研究中でペンが零れて慌てて拭いたのかわからない黒く滲んだテーブルの上にぐちゃぐちゃにかけたテーブルクロス、吹き飛ばされた書類、たくさんの崩れかけた本と本棚。その中で、一番背が高い椅子に座らせてもらって。


それだけでもとっても嬉しかったのに、博士達は本をプレゼントしてくれた。たまには歴史以外の本も読まないと賢くなれないって、ある時には絵本を、ある時には童話を、ある時には小説を。


私もその頃は子供だったから素直に喜んだわ。どんな絵本かと言えば、一番記憶に残っているのはヘンゼルとグレーテル。何故と聞かれれば、最近ルフィ達に読んであげたばかりだから。お菓子の家に憧れてコックさんに作ってくれって頼む彼等。私も昔憧れた、なんて言ったらまた作ってあげるってコックさんが嬉しそうでみんなも嬉しそうだった。



脱線はしたけど、とにかくこれが、一番楽しかった私の誕生会の記憶。
それを、ルフィ達に話したのは、だいぶ前のことだけど。


今は大人になった誕生日の二週間前。何かを必死に隠して作ってくれているウソップやフランキーに、時々バイオリンでバースデーソングを引いてくれているブルック。留守にしてるルフィやチョッパーやゾロは、コックさんとお買い物かしら。ナミは図書館に篭って何かを熱心に調べてるの。海図を書くって、隠しているみたいだけど。


誕生会の準備を、してくれてるみたい。


何度か他のみんなのお祝いを手伝って来たけれど、愛がいっぱい詰まった楽しいお祝いをして、宴をして。準備する側もされる側も楽しくて。


私は祝われなくてもみんなが居れば幸せ。そんなことはこの船に来るまで考えたことがなかった。一度そうコックさんとウソップとルフィに言ったことがあるの。そしたら、ものすごく叱られたわ。


「なにいってんだロビン!!祝いてぇし騒ぎてぇからするんだぞ!もっともーっとしやわせだし楽しいからそんなバカなこと言うなっ!!」


「そうだよう、ロビンちゃん!遠慮しないで!!」


「アートなおれはいかに華やかにパーティー会場を彩るかを工夫するのをすごく楽しみにしてるんだ!おれにその楽しみを味わせてくれよう!」


ふふっ、本当にみんなは優しいわ。
だから、私はウソップやフランキーが何をしているのかも追求しないし、ナミが何を作ってるのか見に行ったりはしないわ。
華やかなパーティーを、楽しみにしているから。



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