Short3

□Not teachers but crew.
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「ふぁ」


でっかい欠伸をして、便所帰りにゆったりと学校の廊下を歩くおれ。昨日はちっと料理の修業をし過ぎちまった。眠い眠いと繰り返しちまう。


「あぁ、サンジさん」


目をごしごし擦りながら歩いてたら、ビビちゃんの幼なじみのコーザが前から歩いて来た。グラサンに金髪の癖、人柄がいいから、みんなから「リーダー」と呼ばれるようだ。


「よぉ、コーザ。珍しいな、二年の廊下にいるなんてよ」


うちの教室は3階の端っこ。コーザとビビちゅわんの教室は2階の端っこなんだ。だから、10分の休み時間の間にくるってこと自体、珍しいわけで。


「呼び出されたんだ、手紙で」


「へー、誰だ。美しいレディだったら…」


「二年生のギャサリンさん」


ギャサリンちゃん…?全学年のレディは頭ん中に叩き込んでいるが、そんな子居ねぇはず。


「ちょっと、手紙見せてくれるか」


「あ、はい」


受け取り手紙を見遣れば、『5時間目が終わった休み時間に、二年生の廊下の真ん中で待ってます。ギャサリン』とだけ書かれていた。一応預からせてもらい、時計を見遣る。もう後3分で休み時間は終わりのはず。


「からかわれたんだろうか?」


「…わからねぇ。そろそろ、戻った方が……!?」


奇妙な音が、聞こえた。


「伏せろっ!!」


「うわっ!!」


廊下にコーザを庇い倒れ込むと同時に、割れ鐘を叩くような音が響いて、ガラスがおれの背中に降ってきた。レディが悲鳴をあげて、ざわざわと廊下に人が集まって来た。


「おい…、無事か…?」」


「わ、悪い。巻き込んでしまって…」


「いいって、慣れてる」


おれは首裏と頬をガラスで切っただけですんだみてぇだ。慌てて窓の外を見遣れば、もう誰もいなかった。


「おい、どうした」


クソ剣士が寄って来た。先生を呼ぼう、って声と、レディの悲鳴と男やオカマの慌てた声がする。立ち上がってガラスを割ったもんを見れば、ソフトボールくらいはある石。ぶつかりゃ、コーザなら危なかっただろうな…。クソ剣士もどうやら考えてるらしい。それを持ち上げて、首を捻ってる。


「犯人は」


「わからねぇが、レディじゃ無理だろ」


「サ、サンジ君、どうしたの!?」


愛しのナミすわんも駆け付けて来た。優しいナミすわんはハンカチをくれようとしたけど、その可愛いハンカチがおれの血で汚れるのは嫌だった。そう言ったら頭叩かれて使え、って頭に乗せられたんだ。あぁ、もう、素敵だァ!!


「ナミさん」


「なに?」


「二年にさ、ギャサリンちゃんっている?」


手紙をナミさんに渡す。ナミさんは首を振って、


「いないわよ、そんな子」


「だよな」


「コーザ、お前これどこで」


「下駄箱の中に……」


「じゃあ、チョッパーの匂い識別は無理そうか」


「酷っ!」


ツッコミを流し、小さく息をついて辺りを見る。慌てる生徒達に、割れたガラス。どうみても授業がこのあとあるとは思えねぇな。それに――


「とりあえず、部室行くか。コーザ、お前も何ヶ所か切ってるし、行こうぜ」


「あ、はい」


アイコンタクトを送れば、ナミさんは頷いてくれた。剣士も気づいた。妙な視線が、おれ達に向けられていることに。


「……!」


「消えたな」


おれ達が気づいたことに気がついたのか、気配がふっと消えた。おれと剣士とナミさんはちら、と互いを見遣った。


「道を変えよう、ナミさん」


「えぇ。ゾロ、迷わないでよ」


「あぁ!?」



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