Short3
□甘色の島の冒険
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サニー号は島の人に嬉しそうに案内され、船大工と剣士が停めにいくことになっていた。という訳で残りの船員達は逸る足を押さえながら、町の人の指示に従って、スイー島の入口に到着した。
「うぉぉぉぉぉぉ!!!」
島に上陸した船長と船医と狙撃手は声高々と感動の声を上げた。あちこちから漂う甘い香り。一つに纏められた島の入口はまるでアミューズメントパークのように華々しいゲートで分かれている。
「これだけ道が分かれるだけあって広いのね」
「どこからいきましょうか、楽しみで仕方ないんですヨホホホ!」
「ふふっ。ルフィ達やブルックより楽しみにしてる人が居るみたいよ」
張り切る音楽家に笑いかけ、考古学者がちらとそちらを見遣る。
「記録は一週間…全ゾーンに行くとして、まずはやたら菓子があるその他ゾーンに行くか…。いや、ソースを学びにケーキパイでも。あまり普段目を向けねぇワ菓子、厳かな飴細工にチョコレート…あーっ!迷うっ!!なんって料理人泣かせな島だっ!!」
「…あんたね」
貰ったエリアの地図を見ながら嬉しそうに頭をぐしゃぐしゃ掻き混ぜる料理人を見て、航海士がため息をつく。するとそれを見た船長がししっと笑った。
「サンジィ!」
「なんだよ、おれは今…」
「美味ェもん食いに行くぞーっ!」
「ぬおわっ。は、はなせ!おれは、ナミすわんやロビンちゅわんと…」
「いーから!」
料理人の身体をゴムの腕で強引に掴んで、船長はその他ゾーンに駆けていく。狙撃手がそれに慌ててついて行き、船医はおろおろした挙げ句、航海士達の方に寄った。
「ナミ達はどこに行くんだ?」
「私とロビンはケーキパイゾーンかしら。チョッパーは?」
「おれ、飴ゾーンに行きたいんだ。でもスイートゾーンも行きたいし…」
「じゃあ、おれと両方行こうぜェ」
船医の頭をぽふぽふ叩いたのは船大工だった。剣士も後ろから何とかついてくる。
「あんた達、船番は?」
「18時まで海賊船全て誰も入れない地下倉庫に隠すんだと。閉じ込めると面倒だから、遊んでこいって」
「船を人質にとり悪いことをさせないというものかしら」
「よく考えてるわ」
にこにこと笑顔を向けてくる島民達を航海士はちらと見て航海士は顔をしかめた。船医は面倒そうに頭をかく剣士を見る。
「ゾロはどこにいくんだ?」
「ワ」
「それではゾロさん、私といきましょう!ワの国には長年縁がありますから、ヨホホホ!」
「…あぁ」
「サンジ君が子電伝虫を持ってるから、私とフランキーとブルックが一匹ずつ持って行きましょう。こんな広い島だから、トラブルに要注意だし」
「そんなとこからさらっと出すな!」
航海士が胸の谷間から電伝虫を三匹取り出し、船大工は思わずツッコんだのはともかく。音楽家、船大工、航海士の手の平にそれぞれ子電伝虫がちょこんと置かれる。
「じゃあ、気をつけて!」
一味はそれぞればらばらになり別ゾーンに分かれていった。
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