Short3
□What is the correct answer?
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ざぁざぁと雨が甲板に強くたたき付け、雨雲が空を覆い隠す。轟音が響き、揺れる海の中を雷が走っていた。
そんな嵐の夜のサニー号。
「………」
航海士は一人、キッチンで新聞をめくって居た。雨音が強く響き、静けさが強調される。いつもは嵐の中でも楽しく騒ぐ一味の筈なのに、今は真逆となっているようだ。何か奇妙な沈黙がそこにはあった。
「解散する海賊が増える、奇妙な事件」
静けさをごまかすように呟いたか、はたまた別の意味を含んでいるのだろうか。航海士の表情は苦々しげだった。
「…ここに居たのか」
船大工が静かに入ってきた。航海士はどこか暗い目配せで返事を返す。船大工はため息をつき、ガラスのコップに水を注いだ。
「他の連中は」
「知らない。みんな一人で居たいんでしょ」
航海士は、静かに立ち上がり船大工の隣を横切った。何か、どこか、苛立ったように。船大工は、それを静かに見送った。
「…あいつら以外、な」
船大工はちらと、明かりのついた医療室に歩み寄った。そっと扉を開ければ、キッチンから引きずってきた椅子に座る船長とくるくる回る椅子に腰掛ける船医の姿があった。
「フランキー、みんなは」
「相変わらずだ。一人で居たいんだと」
「…そっか」
船長は静かに呟いた。船大工は大きく息をつく。
「まだ、目ェ覚めねぇか」
「うん。酷い、ケガだから…」
船医の瞳にじんわりと涙が浮かんだ。それを必死に擦る船医の方を見ずに、ベッドに居る人物を見遣った。
柔らかい布に包まれ、包帯であちこちぐるぐる巻きにされ、瞳を閉じた金髪の男がぐったりと昏睡している。
……彼等の、料理人だ。
「おで、顔洗って来る」
船医が涙声で飛び出して行くのを見てため息を漏らし、船大工は椅子に腰掛け沈黙する。船長は静かに椅子をベッドに引き寄せた。
「…早く、起きろ。サンジ」
落ち着かなそうに料理人の金髪を撫で、唇を噛む。
「おれは、ホントのことが知りてぇんだ」
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