Short3

□Compass of the crew.
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ざわざわと活気づく店や屋台に囲まれた石畳。行き交う人々は挨拶を交わし、靴音を楽しげに奏でながら、時には声に引き寄せられ、時には苦笑をかわして、突き出された商品を断っていた。


「いやぁ、いいもん多くて目移りすんなぁ」


そんな中、きらきらと顔を輝かせながら、革靴の音を掻き鳴らす料理人。ぎっしり実が詰まった殻付きナッツ、左から漂うのは香辛料かはたまた食材か。買い物の腕が鳴る、と張り切りながら、弾む足取りで進んで行く。


「兄ちゃん、あとで寄ってくれよっ」


「安くするからなー!」


ぽいっと新鮮なりんごを手渡されて、サンキュと笑いかけてかじり瞬き。いい店だ、と呟きながらまたみずみずしいりんごにかぶりついた。


――……かいぐ…けいかく。


「…ん?」


料理人は、ぴたと手を止めた。家と家の間の暗い路上に人影が見え、微かな声が漏れ出してくる。


――海賊を…せんめつ…。


「……」


料理人は、いぶかしげな表情になって、そっと家の間を覗き込んだ。二つの人影が見え、人気の殆どない裏路地で何やら話し合いをしているようだった。


「大量の海軍で海賊を殲滅しながら、島中の金品を巻き上げる、悪ですね」


な、と思わず出そうになった小さな声を堪えて料理人は続きを耳にした。


「金品は折半だ。何か訴えるような声を上げれば、海賊を匿ったという名目で捕らえればいい」


「ひゅー。海軍さんは悪どいですなぁ」


「お前も、島長もだろう。島民は気の毒だな。このような島長を持って」


小さな笑い声が、路地裏に響く。料理人は続きに耳を傾けた。


「計画は三日後だ。ここの記録は一週間ある。海賊も集まるはずだ。こちらは軍艦を六程出せるから問題はないだろう」


「………!」


サニーは昨日島に着いたばかりなのに。料理人は小さく舌打ちした。記録が溜まっていないうちに島を出ることは難しいと航海士が言っていたのを料理人は覚えていた。


「数の暴力ってやつですね、たまんねぇ!」


「そうだ。ただしこの計画は誰にも聞かせるな。島民や海賊に三日以内に逃げられれば意味をなさなくなる」


料理人は、表情を真剣なものにした。早く仲間に知らせなければ。バスターコールの10隻程ではないが、きっと面倒に違いない――


「おい、兄ちゃん!何見てるんだい?」


料理人は、はっと声の方を向いた。先程の八百屋の店主だ。しまった、と料理人は路地の方を見た。先程話していた二人が、料理人を見て慌てた。


「み、見られたァ!!」


「追え!!そして消せ!」


「やべっ」


料理人は駆け出した。八百屋の親父が訝しげな表情を浮かべたが、無視したまま。裏路地からグラサン男と海軍兵が続くように飛び出してきていた。



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