Short3

□tea break time.
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この船のコックの料理は何でもおいしい。麦わらの一味の船長だけではなく、他の船員も、いつもがなりあっている剣士ですら回りくどい言い回しをするが、それを認めている。


彼等いわく、彼の料理はあったかい味がして、自然に口元が緩み、いつの間にか夢中で掻き込んでしまうような、そんな魅力をもっているという。いつもそうやって誉めると、「当たり前だ」とか言って頭をバシッと叩かれたりもするのだが、彼等はそんな瞬間ですら嬉しいのだろう。にこにこ笑いながら、口元を緩め給仕に戻る彼を見送っている。


朝食も昼食も夕食も、一味は彼の趣向を凝らした食事を楽しむ。彼等の食事の雰囲気は、高級なレストランというよりも、口々に会話が放たれるアットホームなレストラン。いや、家庭のあたたかみが溢れている、といったほうがいいかもしれない。


その雰囲気に流されてか、はたまた、他の理由からか。この海賊船には、他の海賊船には出されないであろう或る特別な食事が出される。それは、毎日10時と15時に出されるおやつの時間。彼等はその食事の時間があることを喜び、毎日楽しみにしているのである。


もちろん彼はそのことを知っていた。だから、おやつの時間にもまた、特別な工夫を行う。例えば、旬のものを使ったり、彼等の好物を作ったり。中でも、彼等が船番に当たり、冒険出来ないことに落ち込んでいる際には、特別な計らいをしてやっている。そして時にはそこで、珍しいアイデアを試してみる時がある――



今回は、そんな、あったかい時間のお話。



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