Short4
□傷口のかくれんぼ
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サンジはケガに無頓着なとこがある。もちろんゾロは言わずもがなだけどそこは置いといて、と。なんで置いとくかは後でおれさま説明するからな。そこはウソップ様はぬかりねぇから安心しろ!
とにかくサンジがそうなっちまうのは、よく自分を犠牲にする癖から来てんだろうなぁとは思う。チョッパーもそれで参っちまってるし、ルフィも怒ってるしさー。まぁ、みんな怒るんだけど、結局。そ、そりゃもちろんおれだってだ!
二年前のくま事件の時、ゾロとブルックが飛ばされた時頭叩いて、おれを庇って逃げろって言った必死なサンジがまだ頭に染み付いてんだから。ぐすん。心配症なんて思われるかもしれねぇけど、おれサンジが目の前でいなくなるみてぇで怖かったんだ。結局おれが先に飛ばされちまったけどな…。
んで、本題。なんでゾロは置いといてサンジのことばっかかって言うとだな。
サンジが、今現在進行形でケガ放置してやがってるから。
ケガっつっても、もしかしたらたいしたケガじゃねぇのかも…い、いや。そ、そんなこと言ったらチョッパーに怒られるな。うん。
ケガの場所は、サンジの首の裏。ケガしたのはさっきの船番中に急に襲ってきた一人の賞金稼ぎのせいだ。
強くどすっと手刀でやられたんだけどよ、サンジ気絶するどころか痛ェとも言わずに、あっという間に反撃して倒しちまった。しかもおれがなんか言う前に、腹ごなしには最適だったとか言いながら洗い物に戻っちまってさ。おれびっくりすることしか出来なくて。
んで、今サンジはおれさまの心配構わず、平然とキッチンで洗い物してるんだ。首全然押さえてねぇけど、変な音してたし、ちょっと気になって仕方ねぇ!
おれは何してるのか?おれは、だな。もちろんサンジに首のことを聞く機会を伺うため、テーブルで機械いじりを……?
「おい」
低い声がして、顔を上げれば、サンジがいつの間にか、おれを見てた。口許が緩んで、目が笑ってる。
「…さっきからおれの方見て、何面白ぇ顔してんだ」
「え!?」
お、おれそんなにサンジ見てねぇぞ!
「そ、そりゃそのサンジの気のせ…」
「まさかお前…」
サンジばじっとおれを見てきた。まさかサンジ、自分でケガのことわかってるのか?おれが心配してるって、わかってるのか?だったら、おれ、楽に強く聞け…。
「またルフィとチーズつまみ食いしやがったな!!」
「ちがーうっ!!」
思わず大声でツッコんじまった。完璧な手の角度と、勢いで。サンジはむすっとして、
「違うのか…じゃあ…」
ちょっと考え込んだそぶりになった。こ、今度こそと期待をして前に乗り出したんだけどよ、
「皿割ったな?」
「ちがーうっ!!!!」
今度はさっきより強めにびしっとツッコんでやったぞ!!
そりゃ数ヶ月前につまみ食いも皿割りもやったよ!サンジに簡単にばれてルフィとこってり締められたよ、チクショー!あの時ルフィが巨大ねずみ捕りにかからなければすぐにばれなかったのに……。
…はっ。い、いやいや、違う。おれも違うぞ。そういうことじゃねぇ!
「じゃあ、なんだよ」
「…あ、あのな、サンジ」
「だから、なんだ。急にしおらしくなりやがって」
「く、首」
「首ィ?蚊でも止まったか?」
サンジがとぼけたみてぇにじっと顎の下を見たから、もう我慢出来なくなっちまった。サンジの背中に近づいて、ぐいっとシャツをつまんで引き寄せる。
「お、おい!何しやがる!!」
「やっぱりむちうちになってるじゃねぇか、バカサンジ!!」
「むちうち…?」
「あぁもう、くーびっ!!さっきやられたろ!!」
手鏡で映して見せてやる。明らかに痛そうじゃねぇか!見てるだけでこっちが痛ェよ!
「あー…それでさっきからちっと痛むのか」
「気づけよっ!!」
でもサンジはとぼけたみてぇにしてて。まったくサンジは!!
「まぁ、気にすんな。たいしたことねぇだろ」
「ほえっ!?」
おれが油断してる間に、サンジは洗い物に戻っちまった。さっきのツッコミは何事もなかったみてぇに。
これはまたケガ放置する気だなサンジは!!
そんなことウソップ様が許さねぇからな!!
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