□【裏、表】
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忍びは心を無にして感情を殺せ





幼い頃から耳にこびりつくほど言われてきた言葉


私はいつから、このいいつけを破っていたのだろう‥






「た、たすけてっ!」


「どうする?テマリ‥」




ある大名の護衛を頼まれたときの事



敵は霧隠れの忍を味方につけていたため、砂対霧の忍び合戦になった





『私が始末する。カンクロウは仲間を連れていけ!』





目の前には足に怪我をして横たわる五才くらいの子供


大事そうに持つ額当てには、<霧>の刻印




「わかったじゃん。」





ザッと音がして、カンクロウと他の忍びの気配がなくなったとき


私は無意識にしゃがんで、子供の手をとった



『父さんと母さんはどうした?』


「‥」


『答えなきゃ分からないだろう』




涙を流すその子をしっかりと立たせて同じ目線になる


「ふたりとも、ころされた」





『…そう、か』


冷たい、苦しい感覚

後ろに現れた、影



『‥この額当ては?』



「いえのタンスからぬすんできたやつ…」

泣きじゃくりながら、ゆっくり答えた子供の手は震えていた
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