□【空が泣いてる】
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『‥シカマル、冷たい』

「え?」


『体が冷たい…寒いか?』




「あぁ、まぁ少しな」





くっついているのに、いつも感じるシカマルの温もりが感じられなかった


「テマリ…、愛してる」


『なんだ、今さら』



ぎゅっと強く抱き締めてくれたシカマル


「テマリ、俺達忍びはいつ死ぬか分からない」

「だから俺が死んだら、忘れてくれ」



『は?』




「おまえは俺の自慢の女だから…。綺麗だから」


「相手は必ずいるから」




『シカマル?どうした』


いつも強気なシカマルから、そんな言葉が出ると思わなかったし

聞きたくなかった




『何を言っているんだ』


「まぁ、遺言?」

『バカだな。遺言は死んでから伝えるんだろ?』

「そうだな(笑)」




ふっ、と口の端をあげたシカマルを睨み付けると

「あんまり泣くなよ」

と、言ってまた強く抱き締めた



『泣かないよ』


「子供、ほしかったな」

『いくらでも時間はある』



なぜか私を見る目が遠くて、言っている事もおかしい




でも私はシカマルを抱き締めて

「そろそろ帰らねーと。こんな遅くに出歩ってるのを見つかったら、俺が我愛羅に殺される」

と言ったシカマルを見上げた




『我愛羅は最近過保護だ。…明日また行くから』


「あぁ。…待ってる‥」



私はシカマルに背を向けた






「テマリ…愛してる」


しばらくして、まだ気配のあったシカマルの声が耳に届いた


「これからもずっと、ずっと」

「でもおまえは、…忘れてくれ」

「砂の忍びとして戦って、結婚して子供を産んで育てて、幸せになれ!」





何を言ってるか分からなかった


全部、全部、これからシカマルとつむいでゆく未来なのに



シカマルの言い方はまるで、誰か他の人と私の未来を描いているみたいだった







「バイバイ…テマリ‥」







その言葉を聞いた瞬間、私は後ろを振り返った



そこにいたのは、さっきまでのシカマル

哀しそうに笑って手を振っていた






そして強い強い風が吹き、目をつむった瞬間






シカマルは風にさらわれたように消えてしまった
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