不可思議物語
□月と臆病者
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「あの子ともう何日ご飯を一緒に食べてないと思ってるの!?」
「あいつにだって、すまないと思ってる!でもな、こっちだって事情があるんだよ!!」
自分の話題になった。
彼女は仕方なく、部屋を後にした。
足取りは重い。
それに今日は何だか、とてもくらくらする。
水分を取りに行くためにも、1階に行かなければならなかった。
「だいたい、いつもあなたは「おかえりなさい、お父さん」
母の声を遮って、少女は言う。
「お、おう…ただいま」
「ちょ、ちょっと、今、何時だと思ってるの?早く寝なさい?」
「今日も、『ただいま』はなかったね」
凛とした声で、言った。
「それにね、お父さん、お母さん。
二人は、もう何ヶ月も前から、私の名前を呼んでないんだよ?」