連載

□2
1ページ/5ページ

目覚めると其処は美味しそうな匂いと暖かな雰囲気の部屋だった

生憎、我が家はこんなに片付いた綺麗な所ではないし、今回の仕事場も豪勢なだけでこんな雰囲気みじんも感じなかった

(って事は…僕を喚んだ奴の家?いや、まさか…そんな感じしないし)

天井を見上げたままウーンと唸っていたら控えめにドアをノックする音が聞こえた
当然のように返事をすれば、扉が開きひどく安心した表情の女の人が桶を持って入ってきた

「気がついたんですね…良かった」

女の人の言葉に首を振るだけで答え、どうして自分が此処にいるかを聞く

女の人はニコリと花が咲いたように笑い、ネロが路地裏で倒れていた僕を此処に連れてきたと言う

ネロと言う奴の事は知らないが、心の中で感謝しておく

「で、此処は?貴女の家?」

体を起こしながら聞くと、手伝おうと手を差し伸べてくれる彼女の手を制する

「はい。でも、私だけじゃなくて兄とネロも一緒に」

『ネロ』と言う単語を口に出す時、彼女は子を想う母親の様な暖かな表情をする

そこから察するに、『ネロ』と言う奴は牛乳を犬と一緒に運びながら生活をしている彼女の弟だろう

そこに補足を入れるとすれば、絵が物凄く上手い

「……家計は貧しい‥?」

「いえ?」

不思議そうな顔をして彼女が首を傾げる

裕福な牛乳屋なんだ、彼女達は
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ