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□大丈夫、すぐ俺のこと好きになるから
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大丈夫、すぐ俺のこと好きになるから



(ヒノエ)








俺の愛しい姫君…―



ねえ、俺のこと好きになってよ?

いつまで焦らすつもりだい?

本当はもう気づいてるくせに。

俺を弄んで楽しんでいるのかい?

何度愛の言葉を囁きその肌に触れたことか。

それでもお前は揺るがない。


姫君がその気なら俺だって黙っちゃいないよ。

そろそろ、本気を出させてもらおうかな。



















「姫君…」



ふわっと後ろから抱き締め腕に力を込める。
びくっと震えた肩から伝わる確かな温もり。

俺に緊張してる?

嬉しく思いながら。
それを解すためか高めるためか、その可愛らしい耳元に息を吹き付ける。



「お前はいつになったら俺の気持ちに応えてくれるんだい?俺はもう、待ちくたびれたよ。」



わざと声を低くして囁けば横髪から除く白い頬がみるみる内に染まっていく。

見ずともわかる。
回した腕から、触れ合った箇所から。
肌を通して伝わる甘い熱。
もっと感じたくてその首筋に顔を埋める。



「衣を通してもわかる程にお前の体はこんなにも蒸気しているのに。ほら…」



首筋を撫でながらそっとそこに口付け、耳に息を吹きつける。
カタカタ震える姫君を落ち着かせるために、もう一度優しく抱き締めた。

この熱が確かな理由だというのに。

どうしてお前は何も言わない?

ただ俺が与える甘美に耐えて、内に秘めた真実を告げぬまま、ただ俺に微笑むだけ。
俺が欲しいのはそんなものじゃない。
愛がない台詞も、微笑みも。
それじゃ意味がないんだよ?

俺が欲しいのはそんな小さなものじゃない。



「ねえ、姫君?」



なら、そろそろ俺も本気を出させてもらおうかな。



「賭けをしないかい?」



賭け?と首を傾げる姫君を正面に抱き締め直して。
極上の笑顔で見上げてやる。
思った以上に赤いその頬に手を添えて、逃がさないように視線を絡めて。
嫌でも俺を見つめたくなるように。
顔を近づけて。



「必ずお前を振り向かせてみせるよ。俺しか見えない程に、俺でお前を満たしてあげる。だからその時は…」



指先で桜色の唇をなぞって、唇が触れそうな所までぐっと顔を近づけて。

今は真実を告げるのが怖くても、いずれ告げずにはいられない程、お前を俺で一杯にしてあげる。



「…お前の全てを頂戴?」



さあ、おいで?





「ふふっ、覚悟しておくんだね?」




愛しい姫君……?
















(C)確かに恋だった
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