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□悪戯にキスして、溶けさせて
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悪戯にキスして、溶けさせて
好き!……って一言言えれば楽になれるのに。
伝えたいのに伝えられない。
それは貴方がイジワルだから?
「ヒヒヒノエくん!!ちょっと話があああるんだけど今いいいかな?」
「おいおい、そんなに焦ってどうしたんだい?ちゃんと聞くから落ち着いてから話なよ。な?」
「うっ…うん!」
言われた通りにスゥー…と深呼吸をしながら我を静めようとするけど、正直言って今の私はそんなに落ち着いていられる状態ではない。
大好きな人にじっと見詰められては落ち着くものも落ち着かない。
早まる鼓動に、高まる体温に。
私の頬を優しく撫でるヒノエくんの手が暖かくて、くすぐったい…というよりはヒノエくんが触ってる箇所がすごく熱くて。
きっといますごく恥ずかしい顔してる。
でもそんなことを気にしていられる余裕はありません!!
「どう?…落ち着いた?」
「落ちつ……きました。」
本当は全然落ち着いてないけど、満面の眩しい笑顔で言われてしまえば、口は勝手に思ってもいないことを言ってしまうものだ。
ってかその笑顔は反則です!!
「でっ、話ってなに?深刻な話なのか、それとも……もしかして愛の言葉でも囁いてくれるとか?」
「っっっ!!!!」
唇にのっかった細くて長い人差し指が、焦らすようにつつっ…と私の唇を伝っていく。
心臓は早くも爆発寸前です。
ヤバっ…溶ける!
顔が熱い!!
「そっ…そうだとしたら?」
「すごく嬉しいけど、本当にそうなのかい?」
「うん…本当。」
「ふふっ、嬉しいよ。俺も同じ気持ちだ。……お前が好きだよ。」
「ぶっ…!!」
あまりにもストレートすぎる告白に腰が抜けそうになった。
溶けるを通り越して死んじゃいそうなんだけど。
ってかもう死んでもいいですか!?
萌え死にってやつしてもいいですか!!
「でも…やっぱりお前の口から聞きたいな。」
「えっ…!?」
「愛の告白。」
ええええええーーーー!!!
やっぱり言わなきゃダメですか?と視線で訴えてみても、意地悪く笑みを浮かべられるだけで。
流れるようにするりと腰に腕が回らされ、視線が外せない程の至近距離で見つめられる。
早く言ってと急かすように。
ヒノエくんは私が言うまで離さないつもりだ。
前々から思ってたことだけど、ヒノエくんってめちゃめちゃ意地悪だよね!!
この前も玉子焼きを取ってもらおうとしたら、あ〜んしないと食べさせてあげないって言って、一個の玉子焼き食べるのにどれだけかかったことか。
はあっ・・・
とはいいつつ、押しに弱い私も悪いんだけどね。
今だってここは腹を決めて素直に言うしかない!とか思っちゃってるし。
だって、でないと私が持たないもん!!
とんでもなく恥ずかしいけど、ここは・・・!!
「わっ…わたし!!ヒノエくんのことが、前から……す・・・んんっっ!!?」
好き・・・と言い終わる前にヒノエくんの唇が私のそれを塞いでしまい、言葉は甘い波に吸い込まれてしまった。
もちろん驚いた私の思考はフリーズ状態。
抵抗することもできずただされるがままになってしまう。
ヒヒヒヒノエくんがわわ私にキキキキスしてる!!?
「はっ・・・ヒヒヒノエくん!?急になななに!?」
「ああ悪いね。お前の唇があまりに美味しそうだったから、つい味見がしたくなって。」
「味見って…。」
そんなんで済まされるのか今の不意打ちは!!
未だぼんやりとした思考の中で先ほどヒノエくんが触れた部分を指で辿ってみると、改めて羞恥心が蘇ってきて頬は林檎のように真っ赤になっていく。
くるくる変わる私の表情を楽しむようにクスクス笑うヒノエくんは、もしかして私をからかって遊んでるとか?と疑問を持ち始めた頃。
「ごめんごめん。お前があまりにも可愛かったからついね。さっ、改めてもう一回言って?」
「ええ!?本当に言うの!!」
「ああ。さっきは言おうとしてくれてたんだろう?なら言ってもいいんじゃない?」
「ええー…でも。やっぱり言わなきゃだめ?」
「だめ。でないと…こうやって。」
「…んんっ!」
「口を塞いでしまうよ?」
まっ……マジで〜!!!
顎を掬い上げられ、上を向かされて。
今にも触れそうなくらいに唇を寄せられ、甘い吐息が鼻にかかって。
かっ、体が密着して。
「ほら、言ってよ。お前の口から告げようとしていた想いを俺に。でないと…」
「ううっ!!ヒッ……ヒノエくんのイジワルーー!!!」
今なら死んでもいいと本気で思った。
★終わり★
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