日常
□雨
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雨の日は憂鬱である。
私は雨が嫌いだ。
好きな人っているの?
と、やや喧嘩を売りたくなるほど、嫌いだ。
冷たいし、濡れて重くなるし、動きが制限されるし、途端に周りが不親切に映る。
しかし例外がある。
それは、休日の雨。
出掛ける予定のない日の雨だ。
閉め切った部屋に響く雨音は、美山が何かに守られているような錯覚を覚える。
嫌いだからこそ、この瞬間が好きなのだ。
たまに、わざわざ窓を開けてみる。
少し濡れるカーテン。
窓辺に置いた鉢植えのそばに添うように座ると、私の髪や顔も段々と水気を帯びる。
つめたいなぁ、止まないかな。
そう考えながらゆっくりと窓を閉め、湿度の上がった室内で深呼吸する。
また籠もったような雨音が響いて、私は守られる。
大雨で雷まで光るような日はここまで穏やかではないが、
これからの秋雨、予定の無い日に降ればいい。