嗜好


□妖精のお仕事
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私は俗に言う妖精だ。
そうは言っても想像しにくいのではないだろうか?
なんせ、私たちは人の目に触れることを禁じられているから。

これまでに何人もの同期が人の目に触れ、処罰を受けてきた。
その度に辛い思いをしたものだ。





さあ今日も1日が始まる。

今日から私は新しい配属先に向かう。

どうやら、出番まではほぼ待機していて良いらしい。

長年やってきたが、こんな仕事が回ってくるようになったとは。

私もいい加減、いい歳なのだな。

見た目には現れないのが救いか。




しかし、この配属先にはやたらと妖精が多い。
動きはないが、それぞれが懸命に連絡をとりあっている。

かなり広いスペースに、身動きが取れないほど詰め込まれた妖精たち。

…正直、休み辛い。


「なあ、若いの。私はここが初めてなんだが…」

隣で懸命に本をめくる妖精のひとりに声をかけたものの、
彼は私の言葉を遮るように首を振り、また新しい本へと手を伸ばした。

なんという対応か。

説明くらいしてくれても良いではないか。

私の不安は募るばかりだ。



そんな彼らを眺めることしか出来ない私は、仕方なく押し黙って立っていた。
羽を持つ者は頭上を飛び回り、私の不安を煽る。


このような場で、私は本当に仕事を全う出来るのだろうか…
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