メテオ・ノーヴァ

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「やはり凄腕ですね」

「ま、当然だな」

「でも5日間逃げきれました」

「順調順調」

「もうすぐ来ますよ、オルコ・ローゼオが」

「一人と一羽で頑張るっきゃねぇな」

「ですね!」

カラスを肩に乗せた男が不敵に笑う
その男を目指して桃色の鬼が敵をなぎ倒し走る


+ + +


「よくここまで来たね、君達を待ってたんだ…。僕は君達の味方だよ」

ミルフィオーレのコートを脱ぎ捨てた入江正一の言葉にツナ達は目を見開いた

「オレ達の味方だって!?」

「う、うん…そうなんだ…。普段、僕の行動は部下の監視カメラによって24時間 白蘭サンにつつぬけになってたけど君達が全てをメチャクチャにしてくれたおかげでやっとこうしてミルフィオーレでの立場を気にせずに話せるよ…

はぁ〜…

ずっとこの時を待ってたんだよ…。この基地でのこの状況での出会い方こそが僕らの設定したゴールだったんだから」

「!?…ゴール?」

「な…何言ってやがる!」

「ミルフィオーレがボンゴレリングを奪うために君達をこの時代に連れて来たのは事実だが君達がこの時代に来てから僕を標的にしてここに乗り込むようにしたのは僕がミルフィオーレに秘密で仕組んだ計画だったんだ

君達を鍛えて強くなってもらうためにね」

入江正一から伝えられた言葉にツナ達は驚愕する

「たくさんひどいことをして…本当にゴメン…、でもこれから来る戦いに備え短時間に飛躍的な成長をしてもらうにはこの方法しかなかったんだ!」

「これから来る戦い…?」

「そうだ!君達の本当の敵は僕じゃない」

「ふざけんな作り話に決まってるぜ!テメーがやばくなってきたんでオレ達を丸め込もうってんだな!!」

獄寺の言葉に同意するように正一へヤジが飛んだ。
たじろいだ正一はゴクリと唾を飲み込んで声を出そうと口を開く

<テメーがやばくなってきた?この状況でそれはねぇだろ、むしろヤバイのはどっちなのか現状を把握するんだな>

機器から聞こえた声に正一が少し安心したような表情を浮かべた

「タイム…?」

<ミルフィオーレ内、ハッキング成功。メチャクチャになってくれてるおかげで繋ぎ放題だったぜ!>

「オイ!入江の話を信用しろっつーのか!?」

<まあな、最後まで大人しく話を聞いてから判断しろ。得られる情報を偽りだと判断するのは聞いてからでも遅くねぇ>

「…ぐ、」

タイムの言葉に獄寺が押し黙る
それを見て正一が言葉を続けた

「君達を殺そうと思えばもっと早くに殺せた…」

「「「!」」」

「いくらミルフィオーレが油断していたとしても天と地ほどの戦力差だ、君達をいっぺんじゃなく何人かずつこの時代の君達と入れ替えたのもこの時代の君達に過去の君達を導いてもらうためだ
この基地に来てからも僕がもっと早く基地を動かして君達を捕える事も出来た。だがそれでは君達が経験を積むことが出来ないからワザとモタついて遅らせたんだ!

それだけじゃない。守護者ではないイーピン、笹川京子、三浦ハルまでを過去からこの時代に連れて来たのは何故だかわかるかい?
人は守るものがあると強くなれる。その為に必要だと判断したんだ。 現に…」

正一の言葉を遮る様にツナが飛び掛かった

「そんな…!そんな理由で!!もし京子ちゃん達に何かあったらどうするんだ!!京子ちゃん達だけじゃない!!鍛えられる前に山本や獄寺くんやラル…みんなこの戦闘で死んでたかもしれないんだぞ!!」

ツナに胸倉を掴まれた正一が声を震わせながら答えた

「…その場合は…、それで仕方ないんだよ……」

「!!!」

「んだと!!」

「そんな…」

「…うぅ〜ん……、
僕だって一生懸命やってるよ!!予想外のこととか起きて大変だったんだぞ!!これは君達が思ってるほど小さな問題じゃないんだ!!
それにこの計画はこの時代の君の意志でもあるんだ 綱吉くん!!」

「オレの…!?」

「この計画は絶対にバレないように僕と十年後の君と十年後の雲雀恭弥、そして十年後のオルコ・ローゼオ…桃太とその桃太の友人であったタイム・ブローディアの5人の秘密だったんだ
この計画を立てた時に桃太さんの連れていたカラスのショージに計画情報がどうしてかバレてね…、計画を知った桃太さんがタイムくんを紹介してくれたんだ。タイムくんには色々と裏でサポートしてもらって本当に助かったよ…。
そして十年後の雲雀くんがこちらの奇襲を予想出来たのもそのためなんだ。十年後の君は関係ない仲間を巻き込むことには最後まで躊躇していたけど最終的に過去の自分たちの成長に必要だと了承したんだ」

「そ、そんなぁ…オレが…?」

「ありえん!沢田の性格は知っている!!」

「そーだ!!十代目はチビを巻き込んだりはしない!!」

ラルと獄寺の言葉に正一が頭をかきむしった

<疑いたくなるのは分かるけどな、実際に自分たちがどういう状況と理由でここまで強くなる覚悟が出来たのか考えてみろ、ガキ共>

「でもなぁ!!」

「それぐらいヤバイ状況ってことなんだ!!話の流れで察してくれよ!!
全てを賭けてこの事態に対処しないと君達も君達の仲間も全滅しちゃうんだって!!それどころかもっと多くの人々の…ヘタすれば人類の危機なんだぞ!!」

「人類の…危機…?」

「それとこれから来るって戦いが関係してるんだな?」

「えっ、あ…うん…」

「リボーン…!?」

「オレは信じてやってもいいと思ってるぞ。オレが感じていた疑問の答えとしては今んとこつじつまが合っているからな」

リボーンの言葉にタイムが小さく笑みを零した

「あ、ありがとう…」

<まずは敵の情報からだ、正一>

「そうだ…君達の敵となるのは…白蘭サンだ…

白蘭サンはトゥリニセッテを集めこの世界を自分のものにするためには手段を選ばない…そういう人だ…。彼はこの意志をトゥリニセッテポリシーと名付けた…
そしてそれが達成されれば今の比じゃない地獄絵図を見ることになる…自分の思い通りにならない人間・集団・国までも抹殺するだろう…」

「!!!」

「だとすると一つわかんねぇーな、なんで今まで白蘭に手をかしてきたんだ?」

「ん?」

「お前が十年バズーカでボンゴレリングをこの時代に運ばなければ奴の目的は達成されないはずだ。そうすれば最終的には犠牲は少なく済んだかもしれねーぞ」

「…うん…一時的にはね。でも僕の手などかりなくても彼はいずれ君達を未来に連れて来る…
それに僕がこのやり方にこだわった理由は他にある。彼を止められるのはこの時代だけなんだ」

「?」

「今、この時代に倒すしか白蘭サンの能力を封じる手はない!!」

「能力!?」

「説明すると長くなるが…ん?
あっ!!忘れてた…!!ボンゴレ基地になにか連絡は!?」

<ない>

「まだ…そうか、まだだよな…」

タイムの返事を聞いて正一がその場で蹲りお腹を押さえた

「どうかしたんですか…?」

「君達がここに辿り着くことが白蘭サンを倒すための一つめの賭けだった。それを第一段階とするとクリアすべき第二段階があるんだ!!」

「え!?まだ戦うの?」

「へっ?いや…違うよ
君達には暫く傷をいやしてもらうつもりだ。もっともそれが出来るかは第二段階次第だけど…」

「何なんだその第二段階って」

「聞いてるだろ?ボンゴレは今日、全世界のミルフィオーレに総攻撃をしかける大作戦に出るって」

「あ…そういえば」

「その作戦が失敗すると全ては一気に難しくなる…一番のカギとなるのは…イタリアの主力戦だ」

<そこは大丈夫だと思うぜ、ヴァリアーは俺様ブローディア家がバックについてる。そう負けねぇ連中だ>

「そうかもしれないけど…」

<それにヴァリアーが負けるなんてことがあれば普段温厚な奴がブチ切れる、勝率は極めて高いぜ>

「あ、そうだね、うん…ホント、頼もしい…」

<まあ、アイツ今何処に居るのか分かんねぇけどな>

「えぇえええ!?」

「ア、アイツ…?」

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