小説

□再会―エターナルにて
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アークエンジェルを中心とした第三勢力とザフトの死闘の末、メサイアは陥落した。
多くのザフト軍人達は敗戦の報せに落胆し茫然とし……然し同時に、ジェネシスと云う大量殺戮兵器を用いての世界の平定に疑問を抱いていた者は、微かに安堵を抱いてもいたのだった。




「――ディアッカ!」

今名前を呼ばれた軍人、ディアッカ・エルスマンも、安堵組の一人だ。
と云うか、第三勢力に協力までしたのだから、安堵組なんてささやかな分類ではないのだが。



「キラ」

振り向き、此方に駆け寄って来る青を基調としたパイロットスーツの少女を認め、自然と腕を広げる。

キラの方もごく自然に、床を蹴り同様にパイロットスーツの儘の相手の胸に飛び込んだ。


「久し振り!無事で良かった!加勢してくれてありがと!」
「話題絞れって、別に逃げないから、俺は。」

きゃあ、と寧ろはしゃぐかの様な声で一遍に様々な歓喜を訴えるキラを受け止め、其の慣性で背後へと飛ばされるバランスを調整しつつ、ディアッカは笑う。
やがてトン、と彼の背中が壁に付き、しっかりと友愛の抱擁を交わしながらキラはディアッカを見上げ、笑い返した。

何だかんだで実に二年振りの再会である。



「ディアッカ、ひょっとしなくても黒いザクに乗ってた?」
「当たり、よく判ったな。」
「だって僕に一発でも当ててきたの、あの一機だけだもん。ストライクフリーダムに乗り換えてからこっち、シールド以外に被弾した事ないのがひそかな自慢だったのに!」
「やー…ひそかなっつか、其れは盛大に自慢してもいいんじゃねぇ?俺のも掠っただけだし。」

此の場にもしアスランが居れば、間に割って入られベリッとばかりに引き剥がされる事請け合いだが、生憎と云うべきか彼は今、ミーアが救出された事で発生した三股疑惑の解消に勤しんでいる。

よってエターナルの一角にて、離れ難さも手伝い抱き合った儘の雑談となったのだが。




「――貴様ら、何時まで張り付いている。」


尤もなツッコミを其の非常に響きの良い低音にて入れてきたのは白いパイロットスーツに身を包んだ、イザーク・ジュールであった。
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