小説

□一日遅れのバレンタイン
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必要なのは技術じゃない!
心意気だ!!!!












一日遅れのバレンタイン












2月14日はバレンタインデー。

然しC.E系を始め、戦争の歴史を振り返ってみれば此の日は何かの悲劇が重なっている事が多い。
故に軍人の皆さん及び此の平和維持部隊ロンドベル・ジェネレーションズの構成員達は、翌日の15日に所謂『恋人の日』イベントをスライドさせるのが通例であった。



「……できたっ」

オーブンから取り出した天板に乗ったマーブルクッキー。其のまずまずの出来映えに、セシリーはほっと安堵の息をついた。

現在、此の地上基地の大きな厨房は完全に女性パイロットの園となっている。


「…ねぇ、何だかいびつじゃないかしら?」
「大丈夫ですよ、一番重要なのは味なんですから。」
「んー……そうよね、美味しさ一番、見た目は二番!」

セシリーの隣で、出来上がったトリュフを前に何だか背景に花が咲きそうなやり取りをしているのはクリスとアイナだ。
エプロンを着け、髪の長いクリスは邪魔にならない様に結い上げている其の姿は、男子が見れば盛大な目の保養となったであろう。



「……あ、じゃあこっちの、ラッピングの材料貸しましょうか?」

声を掛けたのは、マリューやラクスと連名でAA及びエターナルの休憩室に『一人一個ね☆』と小袋のチョコレートを置く為の準備をしているキラだ。
シンクやコンロから離れた奥側の調理台で、せっせと小さなハート型のチョコレートを袋に詰め、リボンを掛けている。
クルー全員分な為か、詰まれたチョコもラッピング材料も凄まじい量となっていた。



「ありがと、キラ君。こっちのフワフワした紙、貰ってもいい?」
「はい、勿論。」

第二、第三厨房でも、今頃カトルがマグアナック隊向けに大きなチョコレートケーキを焼いていたり、シャクティやティファやプル達が其れに便乗したり、エルとルーが競いながらチョコを刻んでいたり、ディアナが厨房に入る入らないで揉めていたり、ホーク姉妹が誰にチョコレートの作り方とバレンタイン必勝法を聞くべきか様子を窺っていたりと……賑やな事だろう。
 
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