位牌

皆様は「位牌」ってどんな存在だと思いますか?何故「戒名」をそこに書くと思いますか?
これは、その理由が大いに関係してくると思われる姉の体験です。


姉は以前、舞台をやっておりました。
都内にて上演していた為もしかしたらご存知の方がいるかも知れないので、詳細は伏せたいと思います。

小さな劇団を立ち上げ、台本、音響、衣装、小道具に至るまで…全てを自作しておりました。

ある時、小道具として「位牌」を使うため姉が自宅にて(実家ではありません)制作をしておりました。

まずは実家の位牌をデッサン…資料として写真も撮りました。型おこしして、板材の切り出し、色付け、彫刻、釘やボンドを使わずに接合…本格的なレプリカ制作です。


そうして出来上がった、“ぱっと見”本物の「位牌」それも無記名…


異常は完成した直後に起こりました…

バイトと掛け持ちしながら活動していた姉は、自分でも驚く程の高い完成度への喜びと、日々の疲れで、明け方ベッドに倒れ込むように眠りにつきました。

完成した例の「位牌」はベッドサイド…

眠りについて暫くした頃(後で確認したら一時間も経っていなかったそうです)何かの気配で目を覚ましました。
同棲相手かとも思ったのですが、気配は複数。

驚いて跳び起きようとしたのですが、お約束の様な金縛り…


気配は次第に足音になり、列を成すかのようにベッドに近づき…

姉は必死になって金縛りを解こうとしたのですが、焦るばかりで指どころか、瞼をあける事すら叶いません。

行列と化した足音は、ベッドサイドにある例の「位牌」を置いた場所に続いていると…目を閉じていても感じたそうです。

延々続くのかと思った瞬間


プルルルル、プルルルル

「おはよう、大丈夫か?」

留守電設定にしていた電話からの父の声で、足音と気配が消え、動けるようになった姉は、縋るように受話器をとり、泣きながら事の顛末を話しました。

父は姉を宥めるどころか叱りつけ、「位牌」を宅急便で送るように指示しました。

まだ小さかった私は、その「位牌」を見ていないのですが、小さな宅急便を受け取った翌日に、箱を持ってお寺に連れて行かれた記憶があります。

本堂に両親が行っている間、鳩と戯れていたので詳細は知りませんが、後に姉の体験談と共に
「位牌は引き取って貰った。名前の無いモノが、名前を欲しくて入ろうとしたんだ。」
と教えて貰いました。

もしも、父からの電話がなかったら、姉はどうなっていたのでしょう…

名前の無い大勢のモノが「位牌」に入る為に集まり続けたら…

想像するだけで恐怖に呑まれそうになります。

皆様、くれぐれも、遊び心で「位牌」作らないようにしてくださいね…

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