BL&NL Dream
□龍は地を望み、虎は天を望む
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真田幸村が来た。
特に用は無いらしい。
ただ一つ、幸村はこう言った。
『政宗殿に会いたかった』
【龍は地を望み、虎は天を望む】
政宗と幸村は二人で縁側にいた。
綺麗な満月が出ていた。
「政宗殿の手は大きいでござるな」
幸村がいきなり政宗の手を握った。
確かに、政宗の手のほうが幾分か大きい。
「当たり前だろ・・・俺は刀を六本も持たなきゃいけねぇからな」
スルリと指を絡ませる。その様子を見ながら赤面して俯く幸村。
「でも俺はこの手で何人も殺してきた」
スッ・・・と手を離す。幸村が名残惜しそうに手を見た。
「汚ねぇ手だ・・・俺の手は・・・」
政宗は両手を見ながら呟いた。目を閉じれば今でも人の肉を斬る感触が生々しく蘇る。
暫しの沈黙。
それを破ったのは再び幸村が政宗の手を握ったからだった。
「汚くないでござるよ?」
そっと手を持ち上げ手の甲にキスをする。
「おっ・・・お前・・・///」
「某は政宗殿の大きい手が好きでござる」
素直な笑みを浮かべる幸村。
「幸村・・・」
「好きでござる」
にこりと微笑んで言うその姿は可愛いという言葉が最も相応しかった。
「俺もだ・・・」
小さな幸村の体を政宗は抱き締めながら横になった。
「眼帯の下・・・見せてくだされ・・・」
幸村が言うが政宗は首を振った。
「なぜでござるか?」
寂しそうに聞く幸村。
「この眼は・・・俺の中で一番汚ねぇところだ・・・」
眼帯をそっと押さえながら呟いた。
「そんなことないでござる!政宗殿はっ・・・政宗殿は何処も汚くないでござる!!」
幸村が叫んだ。その目には涙が浮かんでいた。
「幸・・・村・・・」
「見せてくだされ・・・」
幸村が眼帯を外した。政宗はそれを拒む事はなかった。
「政宗殿・・・綺麗でござる・・・」
スル・・・と右目を撫でる。
「幸村・・・」
「某は・・・某は有りのままの政宗殿が好きでござる・・・」
右目にキスをする幸村。政宗はその頭を撫でた。
「I love you too.」
「某異国の言葉はわからないでござる・・・」
シュンと頭を垂ながら困った顔をする幸村。
「俺もお前のことが大好きだって意味だ・・・」
「某も・・・政宗殿・・・ずっと一緒でござる・・・」
(END)