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□灰色、空、始まり。
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「ねぇ。今は授業中だよ」
上から降ってきた声に俺は目を開けた。
それと同時に煙草をくわえなおす。
五時間目、体育なんてだりーから屋上で昼寝なんかしてサボろーかと。
なんてのは建前で。
本当は、こいつが来るのを待っていた。
「お前もだろ」
「僕はいいんだ」
なんだその自己中心的主義と思った矢先、トンファーが俺の目の前を掠めた。
「…あ、あっぶねー!てめー何すんだよ!!」
「煙草」
「……」
「校内は禁煙」
「校内は」って…。
でもそこはあえてツッコまずに、雲雀によって消された煙草を渋々ポケット灰皿に入れる。
「それと。ここは僕の場所なんだけど」
邪魔だからどいてくれない?と相変わらずの鋭い目を向ける。
だけど俺だってこいつ目当てで来たんだ。
はいわかりました退きます、なんて本末転倒にも程がある。
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