Zoro×Usopp
□Happy Birthday
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いつもと同じように太陽が昇って、いつもと同じ朝が来て。
それでも今日は昨日とは違う一日。毎日が一生に一度しかない特別な日。
でも今日は特別の特別。
この日、この場所で。
君の隣にいられる事が幸せだと思う。
その日は朝から慌ただしかった。
クリマタクトのメンテナンスをナミに頼まれたことから始まり、次から次へと修理やら製作やらの依頼が舞い込んで、ウソップは工場から一歩も出られなかった。
「なんなんだ一体…おれは便利屋じゃねェっつーの」
ぶつぶつと独り言を言いながら、サンジが壊れたから直してくれ、と言って持ってきたフードプロセッサーを見てため息をついた。
そもそもサンジがこんなものを使っているのは見たことがない、とキッチンに立つサンジの姿を思い浮かべる。
魚の骨まで包丁で刻んじまうくせに。
大体今日に限って何でこんなに直すものや作るものが多いんだ?
まるで今まで隠してたか、今日を狙って壊したとしか思えない。
ぶつぶつと文句を言いながらも、器用に解体していく。
こういう作業は嫌いじゃない。
自分の手で何かを作ったり直したりするのは楽しい。でも、時間を忘れて集中してしまうから、気づいたら真夜中だったなんて事もたまにある。
そんな時は必ず、ゾロが迎えに来てくれる。
サンジが作ったおにぎりを持って。
真夜中の船内を、手をつないで歩く。二人だけの秘密のデートのようで、なんだか少し照れくさい。
でも、そんな時間がとても愛しいと思う。
日中の船はいつも賑やかで、ウソップの近くにはルフィやチョッパーがいて。
それも楽しくて嬉しいけど、たまには二人きりで過ごしたい。
わがままかな、とも思うけれど。
好きな人と毎日一緒にいられるなんて、幸せだし贅沢だ。だからそれ以上の事なんて望まないと思っていた。
でもやっぱり。
「ゾロ来ねェかな」
一緒にいたいじゃないか。
ぽつりと呟いたら、なんだかゾロに会いたくなって、そういえば今日はゾロに会っていない事を思い出した。
見張り番だったゾロは、朝食の時もダイニングにいなかったし、ウソップは朝食の後すぐにナミからメンテナンスを頼まれて、ウソップ工場にこもる事になった。
同じ船にいるのだから、必ず顔を合わせることにはなるのだけれど、今会いたい。
きっと今頃は、日当たりの良い甲板で昼寝をしているだろう。
今日は天気が良かったから、昼寝をするゾロの隣で工場を開こうと考えていた事も思い出す。
今日はゾロと一緒にいたいと思っていた。
だって今日は。