Zoro×Usopp

□しあわせ
1ページ/2ページ


幸せって、いろんな形をしていて、いろんなところに転がっているものだと思う。

例えば、朝目覚めて見上げた空が雲ひとつない青空だった時。
朝メシをルフィに横取りされなかった時。
おやつがおれの大好きないちごのタルトだった時。
夕メシにきのこが入ってなかった時とか、一番風呂をゲットした時。

それから。

好きな人に、名前を呼ばれた時や、好きな人の名前を呼ぶ時。

「何してんだ、ウソップ」

甲板に寝転がりながらそんな事を考えていたら、頭上からその声が降ってきた。

太陽を背にして、おれの顔を見下ろす。短い髪に肩の広いシルエット。
急に光が遮られた事も手伝って、その顔がはっきりと見えるようになるまで少し時間がかかった。

「ゾロ」

目を細めてその名前を呼ぶ。
寝転がったおれの肩の隣に座ったゾロが、大きなあくびをした。

「…でっけぇあくび」

「るせ」

笑って言ったおれの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。
ゴツゴツした大きな手。

幸せの瞬間。

「ゾロも昼寝するか?」

「…お前は何をしてたんだ」

「考え事」

「何を」

「ん〜…。幸せについて?」

「何だそりゃ」

「ゾロはどんな時が幸せだ?」

「あァ?…考えた事もねェな…」

「そりゃもったいねェぞ、ゾロ」

「そうか?」

大きく頷いたおれを見て、少し笑った。

ほら。おれの幸せは、こんなに近くにたくさんある。ゾロの回りにだってたくさんあるはずなのに。
見逃してるなんてもったいない。

「じゃ、おれが探してやるよ。ゾロの幸せ」

「…おれの幸せ…か」

「ああ」

「ウソップお前、ちょっとここに座れ」

仰向けに寝そべっていたおれの頭の辺りを指差してそう言った。

「へ?何で?」

おれには今からゾロの幸せを探すという重大な使命が…。

「手伝ってくれんだろ?おれの幸せ探しを」

おれの腕を掴んで引っ張り起こしたゾロが、ニヤリと笑ってごろんと寝転がった。

頭をおれの膝に乗せて。

次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ