Zoro×Usopp

□世界でいちばん
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おれの名前はトニートニー・チョッパー。

この海賊船の船医だ。トナカイだけど、悪魔の実を食べたから、人間の言葉だって話せるんだぞ。
懸賞金だってついてる。…50ベリーだけど。

この船は、サウザンドサニー号。乗っているのは麦わらの一味。
おれはこの船が大好きだ。

その中でも、おれの一番好きな場所があるんだ。

今日は特別に教えてあげる。

おれの一番好きな場所。

それは。

「お、チョッパー。どうした?」

扉を開けて覗き込んだのは、ウソップ工場。
カチャカチャと手を動かしていたウソップが顔をあげておれを見た。

「ウソップ。今いいか?」

「おう。どした?」

にっこりと笑って手招きした。
おれはとてとてとウソップに近づいていって、その膝の上にちょん、と座った。
ここが、おれの一番好きな場所。
ここに座って、ウソップの話を聞くのが大好きなんだ。

ちょっと前に、ウソップ以外の膝の上ってどうなんだろうって思ったことがある。

で、試してみた。
まずはルフィ。

座り心地は悪くなかったんだ。

でも。

ルフィはじっとしてられないんだ。
すぐにあちこちに行っちゃう。その度におれはルフィの膝から落っこちた。

だから、ルフィはダメ。

次はゾロ。

ゾロはよく甲板に座ってる。

その日もあぐらをかいて昼寝をしていたから、こっそり近づいて、よいしょ、とゾロの膝の上に乗ってみた。

…うん、悪くない。悪くない、けど…。

いびきがうるさいんだ。これじゃ落ち着いて座ってられない。

だから、ゾロもダメ。

次は…サンジ?

でもサンジっていつも忙しそうだし、行ったら邪魔になるかな?
そう思いながら、キッチンの扉を開けて中を覗いてみた。

椅子に座って、テーブルに頬杖をついて何か考え事をしてるみたいだったサンジが、覗き見してるおれに気付いた。

「チョッパー、何してんだ?」

「あの…そっち、行ってもいいか?」

「ん?いいぜ。ほら」

おれの言葉に、笑って手招きをした。

キッチンの扉を閉めて、椅子に座るサンジの膝によじ登って座ってみた。

タバコの匂いがするサンジの膝の上は、意外と快適だった。

けど。

「サンジく〜〜ん」

ナミの声が聞こえると、サンジは膝に乗っていたおれを隣の椅子に置いて、あっという間にはしごを登っていった。

…サンジもルフィとおんなじだ。

誰もいなくなったキッチンの椅子から飛び降りて、サンジが登っていったはしごを登って、ハッチから外を覗いた。

ナミとロビン、それからサンジが楽しそうに笑ってた。

そういえば、ナミとロビンの膝の上ってどうなんだ?

でも。
試したらサンジに蹴り飛ばされると思ったから、やめた。

残ってるのは、フランキーとブルックだけど、フランキーはパンツいっちょのサイボーグだし、ブルックは骨だし…。
試さなくても分かる気がするから、やめた。

絶対固いに決まってる。


やっぱりウソップだ。
ウソップの膝の上が一番気持ちいい。

ウソップが話してくれるのは、夢みたいな冒険の話。
それから、歌うんだ。優しい声で。
その歌を聞くと、おれはいつも眠りに落ちる。
子守唄だなってみんなに笑われたから、おれは子供じゃねェぞって言ってみたけど、本当はおれもそう思ってる。

お母さん、ってこんな感じかな?
ウソップみたいにあったかくて、優しくて、ぎゅって抱きしめてくれるのかな?

心地いいウソップの声とゆらゆら波に揺れる船。
それと、ウソップの心臓の音。

ほら、またまぶたが重たくなってきた。

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