戦国際〜トリップとはこれ如何に〜
□戦国際〜忍法種明かし〜
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あの後、着いたのが夜だった事もあって、女中達を起こすのも忍びない(つか断固拒否させて貰った)という事で・・・忠勝さん自ら、私の滞在する事になる客室に案内してくれる事になった。(あ、あれ、女中さん起こしちゃうより凄い事じゃないか!?これ!?)
「この角は右だ」
「は、はあ・・・」
細かい道案内をしながら目の前を歩いているのは確かに・・・歴史の教科書で見た本多忠勝。
あの特徴的な兜とかは被ってないけど、絵になっても満点だった威圧も分かる迫力が有る。(いや、絵なんかとは比べ物になんないけど)(むしろあれぐらいでも表現出来た絵描きは凄い奴なのか)
我ながら中々下らない事を考えている内に、忠勝さんがある部屋の前で止まる。(此処までの道?覚えてないねー)
「着いたぞ」
スッと襖が滑り部屋の中が見える。
「・・・うわあ」
なんつか・・・広っ
ついでに驚く前に引いちゃってる自分は何処までも庶民なんだと実感する。
「どうした」
入り口の所で固まる私に声を掛けてくる忠勝さん。
「い、いえ、ちょっと私の時代とは違うなーって・・・」
「ふむ、未来の住居がどうなのかは知らぬが・・・」
あれ、なんだか困らせてしまっている!?
や、どっちかって言うと恐れ多い感じでむしろその心配とは逆な感じでして、
・・・うん、郷に入っては郷に従えとも言うし、気にしない方向で行くべきかな。
「いやいやいや、不満とかじゃ全然無くて!こんな良い部屋充てて貰っちゃって良いのかなーって思ってたとこですよ!!」
そう言うと忠勝さんは少し雰囲気を緩めたように見えた。
「・・・ならば良い」
そう、忠勝さんは私に笑いかけてくれたのだが・・・ふと、思い付いたように口を開いた。
「そうだ、ナマエ殿、近く拙者の娘に会ってみる気はないか?」
「忠勝さんの娘って事は・・・稲姫ですか?」
確かそんな名前だったような・・・。
あやふやな記憶を頼りに言うと、忠勝さんは一瞬目を見開いた。(あ、間違ってなかったみたい)(次の瞬間には戻ってたけど)
「・・・その通りだ。年も近いだろうし、もし良ければ話し相手にでもしてやってくれないか?」
「えええそんな!こっちから頼んでも良いでしょうかってぐらいですよ!!」
恐れ多い提案っすよ!
そんな気持ちを籠めて言うと忠勝さんは今度こそ相好を崩して、
「では、あれに伝えておこう」
・・・ああ、うん、お父さんだ。
そう思った私、間違ってなかったと思う。