ごちゃまぜ

□青臭い。
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「あー」


体育館脇にある武道場。
そこのベランダに亨は座っていた。
そこからはグラウンドを見渡せて
体育館の扉が開いていたら中も見渡せる。
そんな場所で休憩を取っていた。

「今日もあっついな…」

言うと持っていた水筒の蓋を開けそのまま飲んだ。
ぷは、と口を離すと床に置き腕で口元をふく。

「ふー」

ひといきつくと 隣の体育館に視線が行く。
バレー部が練習試合中なのか、いろんな声が聞こえてくる。
声援だったり誰かが怒られてたり。
目的の人物がなかなか見つからなくて少し体を倒す。
それでも見つからないのでそのまま床に転がってみた。

「、居た」

そこには声を上げつつ試合に参加している男子。
髪を後ろで束ねている 茶色のくせっ毛。
聞き慣れた声を聞いて目を細める。
あぁ、あいつだ。

「あっちも暑そうだ」

流した汗を袖で拭いつつ起き上がる。
そして大きく伸びをした。
再び体育館を見ると生徒達はバラけている。
休憩になったらしい。
扉からでてきたそいつと、目があった。

「、亨ー」

先ほどと同じ声で名前を呼ばれた。
最近、名前で呼ばれるようになったのだが
少しくすぐったい気持ちになって小さく震えた。

(亨…ねぇ)

思わずにやける。
いつの間にかそばにいた声の主が不思議そうに顔を覗いた。

「なんかいい事でもあったんか?」
「、いや、別に」
「そう?にやけてっぞ、顔」

そう言ってそいつは隣に座った。
にやけてた事が恥ずかしくなって軽く頬を赤くする。
そして両手で軽くぺしぺしと叩いた。

「それ少しちょーだい」
「、ん、」

それ、と指さされた水筒を相手に手渡した。
受け取るとサンキュ、と笑み蓋を開けるとそのまま飲む。
そして離しごちそうさまと返した。

「よし、元気でた」
「そか。なら頑張ってこい」

ぱん、と背中を叩いてやる。
すると相手はおうっと笑顔でいい休憩終了の合図を聞いて帰って行った。
それを見送る。

「あ、間接キス」

いつの間にか近くに居た赤毛の少年がそう言った。
何を言われたのかよくわからなかったが
考えた後すぐに気づいた。
赤面して水筒と体育館にいるあいつを交互に見る。

そして赤毛の少年に向かって走り出した。




(今まで意識した事なんてなかった)
(何で気づかなかったんだろう)
(あたし、今まで何回水筒貸したっけ…!)





おわり

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