ごちゃまぜ

□ありすいんわんだーらんど
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この日、アリッサの目が輝いていた。






「………」


朝から放課後になる今まで
静かに携帯をずっと眺めている彼女を
不思議そうに眺める生徒たち。


「…どしたのあれ」
「朝からずっとあぁなの…」
「前々から変な奴だと思ってたけどここまでとは…」
(ミッチェル君ほどではないと思うけどなぁ)


ひそひそと話し合う三人。
それでも気づかないアリッサに中葉が近寄ってみる。
そしてそっとのぞいてみる。


「…アリスちゃん?」
「……、」


はっと気づき声の主を見上げる。
不思議そうに見てくるアリッサに中葉は苦笑した。


「何みてるの?」
「…アリス」
「まぁたアリスかよー」


次いで近寄ってきた吉田がひょっこりのぞくと、アリッサは携帯を自分の胸にあてて隠す。
その行動にむっとするが月音によって退かされ中葉の隣にたった。


「新しいアリスでも見つけたの」
「…」


月音の言葉にこくこくとうなずき今までに見たこともないような輝きの目で見上げられ
一瞬たじろぐ。
なんだこの 輝きは


「ちょっと見せてくれる?」
「…うん」


中葉に言われて見せてあげるアリッサに吉田は不満そうにそれを眺めた。
携帯の画面を見てあー、と何か納得したような声をあげる。
それに月音が小首を傾げた。


「今度アリスの映画やるみたい」
「あぁ…それで」


ありがとう、と携帯を返すと再び画面を眺めるアリッサ。
相当嬉しいのか周りに花が舞っている。
と、ふと中葉を見上げ服の裾をひっぱる。
それに首を傾げた。


「なぁに?」
「…一緒に見に行こう」
「、映画?」


こくこく。
一生懸命に首をふるアリッサに少しとまどったような笑顔をむける。


「ご、ごめんね…その日どうしても抜けられない用事があって…」


視線をちらっと月音に向けながら言う中葉。
どういう事か大体察したアリッサは握ってた手を離し、しゅんとする。


「ごめんね、アリスちゃん…」
「うぅん…」
「…しょうがないなー僕がいっt」
「月音くんは?」
「Σ俺?」


吉田の言葉をつきやぶり月音に話を向けたアリッサ。
答えはやはりNOで、わかっていたことだがやはり寂しいのかしゅんとする。


「だから僕g」
「アリスお兄ちゃんさそったら行ってくれるかな…」
「、どうだろう、聞いてみたら?」


やはりつきやぶって別の名前を出す。
それが気に入らなくて額に青筋をたてる。
そんなこともお構いなしに、アリッサは中葉の言葉に頷いた。


「だあぁっもう!なんで僕をムシするのかなっ!」


等々きれた吉田はバンッと机を叩いてアリッサを見下げた。
それに驚いて一瞬肩を跳ね上げるがすぐ見上げてむっとした表情になる。


「吉田くんいじわるなんだもん」


ずば、と言い放たれた言葉。
ぐさりと胸に突き刺さっては心の中で「吉田くんいじわるなんだもん」がエコーかかって響き渡った。
ショックをうけている吉田を差し置いて、アリッサは立ち上がり教室を後にした。


「…ドンマイ」


ぽん、と月音が吉田の肩を叩いてやると
ちくしょー!!!
と叫びながら走って教室を出て行った。
その行動に中葉と月音は顔を見合わせ苦笑した。











「ごめん。その日、試合」


アリッサは壮大なるショックを受けた。
あの後すぐ静の元に向かったアリッサは
すぐさま映画に誘った。
そしたらこの答えだ。
今までにない位のショックを受けて呆然としている。


「ごめん…」
「……うぅん…試合なら…仕方ないもん…」


今にも泣きそうな顔でいうもんだから静は思わずおろおろとする。
周りの部員たちや友が珍しげなものを見るように眺めている。


「…気にしないで、また別の日に一緒にいこ」
「、うん」


アリッサの言葉に頷きくしゃりと頭を撫でてやった。
その後練習があるからとわかれ 校門の前で立ちつくすアリッサ。


「…どうしよう」


誰といこう
ぽつりと呟いたそれは 誰に聞かれることもなく消えていく。


「…また一人かなぁ」









「やい、そこのちび。」
「…、」


少し離れた東側に、見慣れた奴が立っていた。
むすっとした表情でこちらを見ている。
何故ここにいるのかわからなくて、思わず首を傾げた。


「…笑いにきたの」
「…」


それでもつっけんどんな言いぐさをする相手に、吉田はぐっと喉をならす。
そしてずかずかと近寄りアリッサの額に軽くでこぴんをかました。


「Σいった、」
「馬鹿じゃないの!この僕が一緒に行ってやるって言ってるのにさ!」
「だって…」
「そんなに僕と行くのが嫌なわけ?」


言われて口籠もる。
ぼそぼそと、小さく言う相手にいらついて、
もっと大きく!
と、再びでこぴんをかます。


「っ…いじわる…しない?」
「…、」


でこぴんの痛みのせいか、なんなのか
涙目で吉田を見上げ まるでアイフルのBGMがながれて来そうな目でみてきた。
いままで見たことない表情に一瞬たじろぐ。


「う、な、なんで映画見るだけなのにいじめるんだよっしねーよっ」
「…ほんと?」
「ほんと!」
「…じゃあ、ゆびきり」


す、と小指を差し出され
そこまでするのか…と、思いつつ自分も差し出して指切りをする。
終えた後満足そうな顔をして見上げる


「なら、一緒にいこ」
「…おう」


一瞬笑顔が見れた気がして
すこし心がぐらついたのがわかった
なに なんなの こいつこんなに 可愛かったっけ






後日一緒に映画を見に行った二人は
白南風生徒に見られて一時期噂になったという。





(ち、違う違う!誰がこんな奴と恋人なんか!)
(そうだよ。こんないじわるな人やだもん)
(なっなんだと!ばかちび!)
(吉田くんも中々小さいよ)
(うっさい!僕はいいんだよ!)




(喧嘩するほどなんとやら)






「そういえばなんで北斗にいたの?」
「Σへ!?あっいや、それはだね、近くに買い物にいってたわけだよ!」
「ふーん…」
「な、なんだよ」
「何買ったの?」
「Σなんでもいいじゃんかよ!なんでそこまでつっこんでくるんだよ!」
「別に、なんでもないよ。ありがと」
「っ、お、おう、?」


(嘘つくの、ヘタだなぁ)

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