ごちゃまぜ

□これは酷い
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「あいつ誰なんです」

路地裏。
薄暗く細いその場所に、二人はいた。
相手を壁においこみ鋭く見据える。
当の本人はわけがわらないという表情だ。

「…なんでお前に答えなきゃ、」
「答えて下さい。」
「…だから」
「わかりませんか?僕はあなたが好きだからですよ」

あぁ、嫉妬だなんて僕らしくない。
だが好きな人が見ず知らずの奴と親しげに話していたら嫉妬するに決まっている。
そして馨さんは眉をしかめて困ったような表情をした。

「…ただの姉貴の後輩だ」
「じゃあなぜ馨さんと」
「ジムで偶々会って知り合っただけだ」

ジムとは馨さんが通うボクシングジムの事。
何故そこで出会ったのかは謎だが北斗の奴ならいくらでも機会はあるのだろう。

「ただそれだけだ」
「…へぇ」

本当にそれだけなのか、と疑ってみたがそもそもこの人が僕に隠し事をする意味は無く、信じるしかなかった。
が、それも気にくわない僕は胸ぐらを強くつかみ馨さんを引き寄せた。
その時。

「なにしてんだ」

遠目から声がかけられて寸前で行為が止まる。
聞き覚えのある声の方をみると、奴がいた。

「おや…」
「先輩が困ってんじゃねぇか」

奴はずかずかと近づいて僕を突き飛ばして馨さんから離した。

「お前誰だよ」
「それはこっちの台詞です。」
「…先輩大丈夫か?酷いことされなかった?」

奴は先輩の肩に腕を回し髪を緩く撫でた。
目線も体格もあまり変わらないようで行為に容易く持ち込む。
それを僕が黙ってみているわけがない。

「馨さんにさわらないでください。セクハラですよ」
「…セクハラって…」
「あぁ?あんただってさっきセクハラしてたろ」
「僕と馨さんはいくとこまでいった仲なので」
「はあ?そうなの先輩?」

二人に詰め寄られてなにがどうしてるのかわからないと言った表情をしている。
あぁ僕はいつから馨さんを困らせるのが得意になったのか。

「どこまでいったのか教えてあげましょうか」

言って馨さんを見た瞬間、まさかと言わんばかりの顔をされる。
そのまさかですよ。
ポケットにいれていた飴を一つ取り出し口に含むとそのまま馨さんの口へ圧力をかけた。
抵抗されたのをなんとか押さえ込み飴を舌で口の中へ押し込み、十分に舌に絡ませてから飲み込ませた。
するといきなり力が抜けてへたり込んでしまった。
それをみた彼は唖然としている。
そんなものも気にせず馨さんに跨ると顔に手を添え隠された片目を露わにさせた。

「っや、め、」
「ふふ、呂律回ってないですよ」

愛おしく撫でながら眼球に舌を這わせた。
その瞬間びくりと肩が張る。

「あ"、ああ"、うあっ」
「んん…ぢゅ…る」

わざと音を立てながら舌で転がす。
この光景を見て奴はどう思うのだろうか。

「っは…」
「っ」

満足して馨さんを解放するとそのまま地面に倒れてしまった。
飴が効きすぎてしまったかな?
次回はもう少し薄めに作ろう。

「先、輩…」

倒れた姿を呆然とみている。
それはそうだ、他人に眼球舐められていたのだから。
意識が朦朧としている馨さんは、這って逃げようとしている。
逃がすものかと掴みかかろうとしたら別の腕が馨さんに伸びていた。
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