Old Clap
□キースラーガーとエクスタシンス
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そこで書記は終わっていた。
死刑になった囚人の書いたものだった。
ガス室へ送る前に、紙とペンをくれ、と
囚人は言って、看守が持ってきた後、
奪うようにしてそれらを受け取り、
何かに取り付かれたように、書いた。
しかし、書ききる前に、紙を投げ出し、
看守にペンを突き刺そうとしたため、
書記は途中で投げ捨てられてしまった。
囚人はそのまま、ガス室へ送られて、
椅子に縛り付けられた。
薬品が機械の中で混ざり、ガスが送り込まれ、
彼は息絶えた。
ガスを吸い込みまもなくは、伏目がちだった目を
かっ、と大きく見開いて、口内一杯に
溜め込んだ空気を出したそうに、うなり、
顔を真っ赤にして痙攣していた。
椅子から逃れようとして、くん、と上へ上体を起こした瞬間、
彼の体から力が抜けて、椅子に納まった。
一部始終をガラス越しに神父として呼び出され、
見ていた私は、彼が投げ捨てた紙に興味を示し、
家に持ち帰った。