Short置き場

□光に侵される
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それから先は、今朝と同じ事の繰り返し。

邪気のない笑顔に呆気に取られつつ、短い返事を返していく。

その一つ一つの返事に、彼女の表情はコロコロと変わる。

それがあまりにも可愛らしくて、面白くて、気がつけば彼女に対して冗談が言えるほど心を開いていた。
彼女の一挙一動が、ボクの心の扉を開けていく。

しかし、その一方で、ボクは彼女の真っ白な光に毒されていた。

ざわめきが止まらない。
胸がやけてヒリヒリする。
彼女をうっかり、壊してしまいそうになる。

思考のほとんどが彼女を占めていた。

こんな事は初めてだ。
こんな感情を、ボクは知らない。

誰かが彼女を狙っていないか、ざわめいて落ち着かない。

彼女がボクに向けた同じ笑顔を他の誰かにも向けていると思うと、胸がやけて痛い。

ボクだけを見てほしくて、彼女を壊したい衝動に駆られる。

これ以上彼女の事ばかり考えていると、ボク自身が壊れてしまいそうだった。

だから、ボクは夜、アソビに行く事にした。
これ以上、ボクが壊れてしまわないために。


これでこそボクだ。

目の前には無数に転がっている肉の塊。

原型を留めていないほどミンチにして、あちらこちらに。

前後左右上下、全てが赤で染まっている。

噴水のように飛び散る赤は、見ていると楽しい。
血を出さない方法もあるけど、それじゃあ、ツマラナイ。

足元に血溜まりが出来上がるほどの、ソレの量。
そこの中に転がっている肉片を踏んでやると、プチッと可愛らしい音をたてて靴を赤く染める。

それが楽しい。

このアソビをしていると、壊れた自分が戻っていくような気がする。

でも、毒素は抜けない。

この姿を彼女には見せられない。

君の存在を消してしまいたい、と足掻いているボクを。

全身が赤く染まって、手も、足も、顔も、全てが赤く染まっているこの姿は。

ボクのように毒されてはいけない。

そもそも、彼女がこちらに踏み込んではいけないのだ。

だから、このアソビもほどほどに。

日が昇り始める前に、ボクは部屋に戻って眠っていなければならない。
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