conto

□天罰
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たまに出来る隙間から精一杯トシの名前を呼んだが当の本人は無視。そろそろホントに危なくなってきた泰楽は「しょうがない」と思いながらある行動にでた。

泰楽は口内で好きかって動くトシの舌に犬歯を立てた。しかも生半可な力ではなく、ほぼ100%の力で。ブチリッと音をたてて生温い液体が少量ずつ流れてくる。その痛みには流石のトシも耐えられなく、目を見開き泰楽の口内からスッと離れた。離れたトシの口端に赤い滴が溜まっており、それは重力に逆らわずにポタリと垂れた。トシは激痛に眉をしかめながら泰楽を睨んだ。


「てめぇ…」

「俺がキス苦手なの知ってるでしょ?なのに続けるから天罰」



今回、少々切れ気味の泰楽にトシは何故か何も言うことができなかった。泰楽は切れると面倒。それを知ってか、トシは黙ったまま泰楽に覆い被さり、泰楽の両手首をシーツに縫い付けた。そこでニヤリッと笑うトシに泰楽の中で何かが切れた。
一瞬、そう一瞬右手首を抑える力が弱まった。その一瞬で泰楽はガッとトシの頭を掴みキスをした。フレンチと言う可愛いものでなく、舌と舌が触れる大人のキス。所詮ディープキスというものだった。



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