守るべきもの
□過去と未来
1ページ/4ページ
この乱世には恋心など必要ないとよく人は言う。 どんなに思っても何時死ぬか誰にも解らない
それも家臣の分際で主城を好きになるなんてあってはならない事なのだ。
「主上お目覚めください」
「もう少し‥寝かせて」
幼少の時から側でお世話をしていたのに今さら好きになるなんて信じられない。
「だめですよ。今日は城下の視察に行く日です」
「なら一緒に寝てくれ」
言い終えるとゆっくり手を引っ張るがいきよいあまって相手の身体の上に重なってしまった。
「大丈夫ですか?今退きますね」
「嫌だ!退かせぬ」
大嫌いな夢を見てしまった。この夢を見ると必ず誰かが死ぬ。
しかも大切な人だけが。
その夢は、赤く塗られた部屋に響く叫び声目の前で何人も切られ生血が身体にこびりつくまるで地獄絵図の様だった。
「頼む‥このままでいさせてくれ‥」
泣きながら見つめられると初めて琴破様にあった時の事を思い出す。