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□それでも私、
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思えば私はいつもあの人の指示を聞いて動いてました








『千鶴、お前は残れ、…俺はお前を幸せには出来ない』




突然彼の放たれた言葉にどうしようも無くなって、


いつも彼は私を連れてくれたのに、そんな思いだけ初雪が降った次の日の朝の真っ白な地面のような脳内に、ぽつんと佇むだけで、
それと同時にいつもあの人は「敵が侵入してきたら心配だから」「人伝」「任務だ」という理由だけで「私」では無くて、いつも「新選組」でした





人の前に立ち、嶄然としていて情に深く厚く心配するほど勤勉で、ただ一つを見て歩く仁愛な彼の人間性に憧れていた





そんな彼の背中をただただ見送ることしか出来なくて気付けば体を地面に預けて瞳からは止めどなく涙が溢れていて暗涙を我慢出来なくて、まるで赤子のようでした

頬が張って痛くても咽の奥が、つんと引っ張られるような痛みも悔恨に比べれば、ちっぽけで、どんなに悔やんでも為ん方無いことだと分かっていても
また放たれるかも知れなくても
あの人の、土方さんの私を思って言った「残れ」の言葉を破ってでも彼の傍にいたい







だから地面を蹴って一人で立ち、歩かなければ

もう守られて、ただただ愛でられる少女では、あの人に追いつけないのだ


もしかしたら皆が守ってくれた命を粗末に扱っているのかも知れない

彼が歩いた地面は薄い氷の這った湖かも知れない




「それでも…」


決意がこもった凛とした瞳で静かな口調で呟く



(それでも、それでも)




それでも私、
(貴方を追いかけるから)





fin




 

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