夢の中へのノクターン
□君いっぱい!
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「あれ?やぁ平助君の隊も巡回だったんだ。というより、そんなに焦って、どうしたの?」
「あ!良いところに総司!助けてくれよー」
平助が疲れた果てた様子で沖田に寄る
「千鶴がさ、いなくなっちゃったんだよ」
「え?千鶴ちゃんと一緒に巡察だったの?」
「おう、だって千鶴が俺の巡察について行くって言うからよー。いや何か、いきなり走り出したから追いかけようと思ったんだけどよー…」
「…ふーん」
(なんか苛々する)
手に力がこもり、爪が食い込む
千鶴の言った"平助の巡察について行く"って言葉が気に食わない
「一緒に探してくれよー総司!土方さんに怒られる…」
平助が真っ青な顔で焦りながら沖田に言いかかる
「まぁ土方さんが眉間に皺寄せて怒る所、見るの好きだから怒られてくれても良いんだけど」
「総司ー!!」
「はいはい、分かった探すよ。じゃあ平助君は向こう側探して、僕はあっちに行くから」
「おう!任せとけ!」
向こうに向かって歩いていく平助を見送り
(…はぁ何で、はぐれるかなぁ…変なことに巻きこまれてなかったら良いんだけど…)
苛々したり胸の辺りがモヤモヤしたり忙しい
(早く捜さないと)
そう思い歩きながら辺りをキョロキョロ見回していたら、ふと視界に溢れかえる程、沢山の人混みの中で見馴れた淡い桃色の袴に漆黒の髪を結った子が遠くの方に見えた
「あれかな…」
足取りを早くし人混みを分けて追いかけた