夢の中へのノクターン

□皆で働こう!
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「焼きそば一つですねー350円になります」



千鶴は小学生くらいの男の子に350円と引き換えに焼きそばを渡す




「千鶴も、あっついのに頑張って働くねー」

「わ、総司さん」



後ろから屋台の熱気の暑さと人混みの熱気で、でろーんと項垂れた総司が千鶴の肩に顎を乗せる




「だって校長の近所で、お祭りをするからボランティアに…って…頼まれたじゃないですか」



「まぁ近藤さんが嬉しそうに、お願いしてきたから僕も手伝ってるんだけどね」



そうじゃなかったら千鶴とお祭りデートだったのにね、と満面の笑みで千鶴の顔を除きこむ総司





「…な、なんでそんなに笑顔なんですかっ」


千鶴にとったら、いくら近藤さんのお願いでも、やはり恋人の総司とお祭りを堪能したかったというのに、



「んー?そんな顔するほど僕とお祭り行きたかったんだなーと思うと何か嬉しくてさ。…お祭り終わったら二人で花火しよっか」



「……そ、そそんなので誤魔化しても駄目ですー!」

内心、総司と花火をする楽しみにしながらも負けじと意地を張ってみる




「はいはい、後で林檎飴の飴の部分あげるから」

そう言って千鶴を、ぎゅうっと抱き締める総司


「…うぅー子供扱いしないで下さ「総司ぃいいいいいいいいいっ!!!」





千鶴と総司の雰囲気をぶち壊すかのような怒声が響く


「もう、何ですか土方先生」



「もう、何ですか土方先生、じゃねぇだろ!何二人してお互いに油売ってんだ!働け!」



「やだなーちゃんと働いてますよ」


「さっきから焼きそば焦げくせぇよ馬鹿野郎。近藤さんが悲しむだろうが!」


「気づいていたなら土方先生がフォローしてくれないと」



隣で言い合う二人に千鶴は宥め役に回って、おかげで少し場が静かになり




「あ!土方先生、平助君とかは、どこで働いているんですか?」



「あ?平助は金魚すくいで、さっき子供と一緒になって夢中で金魚とってたぞ、」

(平助君らしいな…)


「で、斎藤は的当てで、あいつ景品が倒れるか試しに射ったつもりが、なかなか上手く出来ないらしく"練習だ"とか言って夢中になって…」


(まぁ確かに斎藤さん出来ないことは出来るまで努力するし…)

「あ、左之と新八は法被着て近藤さんと太鼓を叩いてるぞ」

(永倉さん太鼓似合うだろうな…)


「まぁさっきから山崎と山南さんが見つからねえんだが…」


困っている土方に総司は


「まぁ皆あれですよ、こういう時にしか好きなこと出来ないから…ほらよく言うじゃないですか、鬼副長の居ぬ間に洗濯「総司いいいい!てめ、こら待ちやがれ!」


逃げる総司に物凄い剣幕で追いかける土方を何も出来ず、ただ見送る千鶴




(本当に山南さん達はどこに行っちゃったんだろ……?…ん?あれ…)



溢れかえるような人混みの中、千鶴の目には土方が気にしていた人物が映った




「あ、そこの貴方気分でも悪くなされたのですか?そんな時はコレを…」


「あの、先生もうこれ以上は「何か言いましたか?山崎君」


「え?コレは…?」


「コレは変若水と言ってですね…………………」






焼きそば屋台の近くで山南はニコニコしながら営業をしていた





(山南さん…嬉しそうだな何を売ってるのか、よく見えないけど…)






すぐ目の前を嬉しそうな人々が通り過ぎる光景に少し寂しさを覚えながらも、つられて頬が緩む



(たまには、こんな日も良いな)






皆で働こう!

(皆で作る、この時間が楽しいね!)



オマケ




「くそ、どうしてわざわざ俺が庶民の為にステージまで設置してショーを開催してるのに誰も来ないのだ…っ…我が嫁はどうした!…天霧!もっと照明をカラフルにしろ!」



風間も一人、祭りを楽しんでいましたとさ





fin



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皆、前世の記憶あり。

太鼓叩く新八が書きたかったが為に執筆しました。個人的に凄く似合うと思います。




 

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